あの人にも食べさせたい。で、ここで食べさせたいと思うあの人こそ、今自分が一番好きな人なのよ。
育生くんの母
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卵の緒が親子の証育生に「親子の証であるへその緒を見せてほしい」とせがまれた母親の君子は、自分は卵で子供を産んだと言い、卵の殻を親子の証であると育生に見せる。納得しない育生を君江は思いきり抱きしめる。そしてこれが親子の証であると伝える。自分たちが、実は血が繋がっていない親子であることを育生に打ち明けるとき、君子は「誰よりあなたを好き」「尋常じゃなく愛している」と伝える。母親の君子は子供である育生への愛情をわかりやすく言葉や態度で伝えている。親の子供に対する愛情私がこの本を初めて読んだのは、独身の時だ。君江から育生へのストレートな愛情表現に心を動かされた。もし、これから自分が結婚・出産して、子供を育てるときには、君江のように適当なことを言いながらも、わかりやすい言葉で愛情を伝えたいと思った。現在、私の娘は4歳。親になると子供に対していろいろなことを思う。育児の最終目標は親がいなくても社会で生...この感想を読む
「卵の緒」「7's blood」の、2つの中編小説からなる本です。「卵の緒」は、第7回坊っちゃん文学賞大賞受賞作品だそうです。「卵の緒」は、自らを捨て子だと信じている小学生の男の子、育生と、その母の物語、で、「7's blood」は、異母兄弟の、高校生の女の子、七子と、小学生の男の子、七生の物語、です。子供って、一度は、「自分は捨て子だ」と思い込む時期があるから、「卵の緒」は、その話かと思いきや、捨て子ではないにしろ、母の話す、(たぶん)真実の話、はもっと意外な物でした。あと、育太郎、の顔が、日に日に男前になるのが面白かったです。描き慣れていくのね…「7's blood」は、七生の健気さ、器用さが悲しかったです。七子は、野沢君より、島津(しまつ)君の方が好きなのかな~~と思いました。でも、最後の、七子と七生の別れの場面は、ちょっと兄弟で…と思うと、気持ち悪かったので、★を少し減らしました。この感想を読む
最初に、この本を手にとったとき「僕は捨て子だ。」と始めにあったのをみて、無理かも、と思ったけれどその理由が、「へその緒を見せてくれない」からででも、「母さんは誰よりも僕を愛している」ときたら気になって読んでしまった。捨て子だと自分で言うわりには、悲壮感のない僕(育生くん)の語り口でたんたんと話が進んでいくので、決して暗くなく、むしろ楽しく読めます。このお母さんが大らかで楽しい人でそして子供を誰よりも愛しているというのをストレートに表現する人でとても憧れました。こんな人だったら、捨て子だろうが何だろうがちゃんと愛されてると実感できるから家族になれる、と思いました。出てくる食卓の描写がおいしそうで、こんな愛情たっぷりな手料理なんだから僕も捨て子だなんて言う割に楽しく暮らしてるんだなってホッコリしました。
育生くんの母
捨て子だと思い込んでいる育生くんに母親が言うセリフ