恋愛小説
私は中学生の時にこの小説をはじめ太宰治の作品に触れました。その時に一番心に残ったのがこの小説です。太宰治と言えばヴィヨンの妻や人間失格、斜陽などをあげる人が多いと思います。私も中学生のときはそう思っていてこのパンドラの匣を開きました。 そしてびっくりこれは紛れも無く爽やかな青春小説で、それまでの太宰のイメージが払拭されました。明るく軽やかなテンポで背景も明るい色彩で描かれていてつい夢中になって授業中にこっそりと読んでいたものです。 主人公は鋭敏な感性を抱く思春期の青年でその時期特有の微妙な心持を見事に美しく書き上げられていました。ぜひ同じように多感な時期を迎えている学生達に読んでほしい太宰小説の筆頭です、もちろんこの他の作品もそうなのですが、一番最初に読んでほしい。という意味で。重厚なイメージで手を出しにくかった学生達に太宰治の小説にはこんな明るさ、軽さがあるものもあるのか!と思ってほしいものです。 希望と不安のごちゃまぜになる季節。あの時私は、僕は実はこんな気持ちだったのか、実はこんな気持ちなのかと気づかせてくれる小説です。
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