インシテミルのあらすじ・作品解説
インシテミルは、2007年に文藝春秋から発売された米澤穂信による小説であり、2008年「このミステリーがすごい!」第10位を受賞、第8回本格ミステリ大賞(小説部門)の最終候補作品に残るなど、高い評価を得たベストセラー作品である。 お金欲しさの故に、「ある人文科学的実験に参加するだけで大金がもらえる」という怪しいバイトに参加した12人の男女。7日間、館の地下に閉じ込められた彼らに与えられたバイトの内容とは、参加者同士が殺しあう、究極の殺人ゲームだった。7日間何もしなくても報酬が出ると結論付け、その意見に納得した彼らだったが、さらに高額な報酬欲しさに裏切り者が出てしまった。 自分の命と大金を賭けた、複雑な心理戦の行方が見所の小説である。 2010年10月には、名作『リング』の中田秀夫監督、主役は藤原竜也で映画化され、12.2億円の興行収入を誇るヒットとなった。 映画公開に先立ち、2010年8月には、文庫版の同タイトル小説が発売された。
インシテミルの評価
インシテミルの感想
お手軽ミステリ
映画化もしました米澤穂信氏の作品です。私は映画化される前にこの本を手にとっていたのですが、まあある意味では映画化はされやすいような設定ではあるのかなと思っていました。ミステリではよくある館系密室での連続殺人。そこで主人公が探偵のように立ち回りながら物語は真相へと迫っていきます。ミステリーに必要不可欠な緊迫感や登場人物の立体感は映画化されるだけあってなかなか良いものだったと思いますし謎解きはミステリとして質の高いものとなっています。しかしやっぱり読んでいて、んん…?となってしまう様な場面もあります。少しネタバレになりますが、作者はミステリの「真犯人はいつでも一人!」といったものを覆して意外性を取ろうとしたのでしょう。そこで無理が生まれ、読者と作者で温度差が生まれてしまうこともあってしまうような作品になってしまったようです。
バランスのとれた傑作ミステリ
自分にとっての、米澤穂信デビュー作品。前評判から、もっと訳の分からない恐怖を感じさせられるようなこわい作品なのかと思っていた。そんなことはなく、でも引き込まれて一気に読了。面白かった!一人ひとりの登場人物の性格描写がかなりしっかりなされているところに好感。主人公もいいし、ヒロイン役の女性もいい。実験の仕組みも納得のいくものだったし、トリックも動機も面白いな、と思った。ミステリファンにはちょっと美味しい仕掛けもちょこちょこあるし。いろいろと納得できるお話だったなー。いろいろと物議を醸しているようだが、「インシテミル」というタイトルがまたそそるものがあるよなぁ、と思ったり。
映画より小説!
映画にもなったこの作品。どうもあちらの出来が良くなかったので、嫌厭されがちですが、小説版はしっかりとしていて、期待に応えてくれるような作品です。ミステリーの小ネタのようなものも散りばめられており、ミステリー好きな人はもちろん、ちょっとハラハラした物語を読みたい、という人にもお勧めです。常にドキドキしっぱなしで、最後まで一気に読めてしまいました。特にラストへ向けての盛り上がり方がとても良くて、いったいどうなってしまうのだろう!?と、先へ先へと気になって読み進めてしまいます。映画だけを観て気に入らなかった人も、原作のこの小説を読めば、印象が変わると思います。
インシテミルの登場キャラクター
結城理久彦
よみがな:ゆうきりくひこ 性別:男性 国籍:日本 性格:暢気 ポリシー:基本的に楽天家 特徴:時に鋭い洞察力を発揮する 嫌いな食べ物:ぎんなん 職業:ごく普通の大学生 苦手な事:英語と暗算 応募動機:車の購入資金のため