ぼくは好かないね、巧言令色にして、内に邪心を育むというのは。
バサーニオ
理解が深まる小説レビューサイト
小説レビュー数 3,368件
「ヴェニスの商人」は、ウィリアム・シェークスピアの戯曲であり、1594~1597年の間に執筆されたと言われている。 パサーニオはポーシャと結婚するために、アントニオに金を借りようとする。アントニオは商船を持っていたが、今は航海中で手元資金がないため、高利貸しのシャイロックに金を借りる。シャイロックは、日頃から商売の邪魔をしているアントニオに復讐するため、「金を返せなければ、彼の肉1ポンドを与えなければならない」という条件で金を貸す。そして、アントニオの商船が運悪く難破して、アントニオは金を返せなくなってしまう。シャイロックがアントニオの肉を1ポンド切り落としてもよいのかを巡って裁判がおこり、「肉を切り取ってもよいが、血を一滴でも流せば、契約違反で全財産を没収する」と言われてしまう。最後は、商船が無事に戻ってきてハッピー・エンドという喜劇である。 ユダヤ人という人種問題や、行き過ぎた商業主義を扱った物語として、後世の歴史に大きな影響を与えた作品である。
シェイクスピアらしい濃厚で生々しい人間劇が描かれています。基本的には悪いユダヤの商人がいて、そのユダヤの商人に最後はとんちを効かせて一杯食わせるという、ありがちな話です。しかし、そんなストーリー構成論だけで語れるような浅薄なものではありません。描かれている人間の描写や、セリフがなにか読み手の心に引っ掛かってきます。これこそがシェイクスピアの巧みさだなと思います。無意識に語りかけるのがシェイクスピアの真骨頂でしょう。それがあるからこそ、三百年以上もあいされるさくひんになるのでしょう。勧善懲悪的な時代劇みたいな話ですが、最近シェイクスピアが守銭奴だったらしいという研究が発表されていました。そう言う観点で読むとまた面白いかもしれません。
バサーニオ
アントーニオーとのお金の貸し借りに関する時の会話。