浅見光彦、名探偵の原点
陽気な浅見の意外な過去浅見シリーズを、刊行された順に忠実に読んでいる人は感じない感情だと思うが、他作品を読んだ後にこの作品を読むと、浅見の名探偵ぶりの根底は、やはり妹祐子の非業の死を通じ、遺族の側の無念の心理や、捜査する側の警察の心理を両方垣間見ることになったことが、きっかけであろうと思う。妹が亡くなって8年もたっているという設定であるとはいえ、遺族当事者というよりかなりドライな目で事件を見ている点に違和感を感じないわけでもないが、8年という長さは人の傷をある程度癒してくれる時間なのだろうし、浅見自身、妹の死の真相を知ることが出来そうな事件に遭遇したことで、例のごとく、不謹慎にも「ワクワク」したに違いない。ファンとしては、あの浅見の妹というからには、美貌で明るく優秀で・・・と、人柄や容姿をもう少し知りたい感じがあるが、作中祐子に関する情報はほとんど出てこない。ちなみに浅見と結婚しそうにな...この感想を読む
4.54.5
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