著者の自信が生み出した傑作
内田氏が納得した創作人生の原点2018年3月13日、内田康夫氏が亡くなった。多くのファンやミステリー作家仲間、浅見シリーズのドラマに関わった役者さんなどは未だ悲しみが癒えないでいる。このレビューを書いている時点で、内田氏の遺作であり未完の「孤道」は、完結を次世代に託し、一般公募している真っただ中である。来月4月末日が締め切りであり、内田氏が最終的に審査に関われなくなったことは残念でならない。内田氏は、面白い物への嗅覚が大変優れている。自分の著作に関しても、まるで他人が書いたものを絶賛するように面白いと絶賛する。謙虚を美徳とする日本人には、一昔前だったら異質に感じたこの感性も、平成の今となっては、「稚拙な作品」と卑下するよりは著者自らが「面白い作品」と言ってくれる作品の方がウケる時代になった。同時に人に何か物を差し上げる時も、つまらないものですがとは言わない文化になってきていて、本当にいいものだ...この感想を読む
5.05.0
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