浅見ばかりではなく、男性全員逃げた方がいい女の話
官能的なストーリーも多い5編の短編「逃げろ光彦」は、そのタイトルの短編も含めた5つの短編で構成されている。内田康夫と5人の女たちと副題がついているように、非常に癖のある女性5人を描いたミステリーだ。普段、女性に積極的ではない浅見の様な純情中年(!?)のシリーズに慣れてしまうと、内田氏はあまり官能的な小説とは無縁な気もしてしまうが、この短編集では、「逃げろ光彦」と「濡れていた紐」以外の三編は、突飛なストーリー展開同様にその官能小説っぷりのインパクトが強い。内田氏自身もあとがきで、掲載された雑誌が官能小説系雑誌だったことや、デビュー当時はチャレンジ精神でこういうものも書いていたと説明しているが、実は内田氏はデビュー作の「死者の木霊」で、冒頭からセックスシーンを描くという大胆な出発をしている。考えてみたら、内田氏が官能的な作品を描くことは、いちいち驚くことでもないし、珍しい作品でもないのだ。官能...この感想を読む
4.54.5
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