何がどうなろうと、たいしたことはありませんでなァし
松坂熊吾
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一見静かなようで色々な事件が起こる日々慈雨の音は著者宮本輝氏によると、松坂一家周辺の人間への慈しみが横溢していたと感じる巻ということから、その印象がタイトルに反映されているようだ。事業を始めては潰し、転居を繰り返すという落ち着きのない人生を送る松坂熊吾にとって、この第六部は商売的には余り動きがなく、静かな巻だと言える。しかし、その分私生活で起こる様々な出来事は、シリーズ内で最もあわただしい。大きな出来事としては浦部ヨネや香根、海老原太一と言った松坂一家と関わりが深い者たちの死だったり、小さな出来事として伸仁と動物たちの関わりで会ったり、箇条書きにしだしたらきりがないほどの出来事が凝縮されている。フィクションとはいえ宮本氏が父の生きざまと自分の実体験を元にこの作品を書かれているのだとしたら、宮本氏が父上と過ごされた若かりし日々は、なんと多くの経験を積む時間だったのかと改めて驚かされる。ま...この感想を読む
松坂熊吾
ムメばあちゃんの面倒を見てくれていた浦辺ヨネが亡くなったのを機に養老院に行くことになったムメばあちゃんに熊吾が言ったセリフ。熊吾の生き方のモットーとして、世の中大抵のことはどうということはないという鷹揚に生きることの大切さを説いたもの。方言は伊予弁
大久保五郎
熊吾が借金をしてる大久保に、借金の保証人を息子から妻に変えてもらおうと言いかけた際、大久保が熊吾の息子伸仁に、親が生活を維持してくれていることを実感・感謝する意味でも保証人になっておけという意味で諭したセリフ。