緋色の研究のあらすじ・作品解説
「緋色の研究」は、イギリスの作家アーサー・コナン・ドイルによる推理物の長編小説である。 主人公のシャーロック・ホームズを探偵役とするシリーズの最初の話であり、ホームズと相棒で探偵譚の記録役のワトスン博士と出会い、ルームメイトとしてベーカー街に一緒に下宿する所から話が始まっている。ワトスン博士はホームズの観察眼に驚かされ、感銘を受ける。最後にホームズが事件解決の名誉を警察に譲る無欲さを見て、自分が記録役になりホームズの事件と解決の話を世間に広めようと決心する。 2部形式をとっており、他の長編の「4つの署名」「恐怖の谷」と同じような構成になっている。 第1部は、共同生活を始めた後、立派な身なりの中年男性が殺され、壁に復讐を意味する血文字と婦人物の結婚指輪が落ちていた。警察により犯人はすぐ逮捕されたかに思えたが、今度は被害者の秘書が殺されていた事件をホームズが解決に導いていくのである。 第2部は、容疑者の目線で話が進められ、どうしてこのような殺人を犯すことになったのかを語る、過去の因縁話になっている。
緋色の研究の評価
緋色の研究の感想
シャーロック・ホームズが登場する最初の長編「緋色の研究」
戦争から帰ってきたワトソン医師は、友人の紹介により、シャーロック・ホームズという男と共同で部屋を借りる事となった。そのホームズ氏というのが奇妙な人物で、普段は何を仕事としているのかが全くわからない。しかも彼は妙に鋭い洞察力を持っていたのであった--------。この作品をきちんと読み通したのは、2回目くらいになるかと思う。ただ、ホームズとワトソンの出会いの部分は、もう幾度となく読んだような気がするので不思議なものだ。この「緋色の研究」は、それくらい有名な、シャーロック・ホームズが登場する最初の長編なのだ。この作品では、ワトソンがホームズと出会い、二人が共に同じ家に住むようになるくだりから始まっていく。そこでワトソンは、この奇妙な同居人に対して分析を試みるのであるが、これこそが、この作品の一番の見所であろう。実はこの作品こそが、一番ホームズに対する分析、そして詳細事項がきちんと描かれている本といえ...この感想を読む
ワトソンによるホームズ徹底解説
ホームズとワトソンの出会いから始まります。個人的にはシャーロック・ホームズ作品は、ワトソンによるホームズ解説が一番面白いと思っています。なので、この緋色の研究は処女作で、導入部分が多く、ホームズの人物描写が結構多くて、彼の奇人変人ぷりが余すところなく観察されていてかなり興味深いです。そして、ワトソンのこの観察眼が、なぜ推理に活かされないのか、ちょっと疑問に思ったりもします。しかし、その鈍感さと素人な感じがこの小説のトリックを効果的に見せていると思います。ホームズ目線だったらきっと全然面白くないでしょう。ホームズが得意げにワトソンに語るところとかも面白いです。
ホームズとワトソンが出会う第一作
アフガニスタンの戦争で負傷して帰国した医学博士のワトソンが、下宿の同居人を求めて風変わりな男、ホームズと出会います。その出会いと親しくなるまでの話から、ホームズの特異な推理能力、独自の知識、観察眼などを知るにいたります。そしてホームズに来る事件の相談に助手として関わることとなり、事件に首を突っ込む展開になり、後のホームズ物語の原型が出来上がっています。本作は男があばら家で殺害され、壁に謎の血文字が描かれ、女の結婚指輪が残されていたという事件です。ホームズが独自の推理と行動で犯人を突き止め、逮捕するに至ります。そこから第二部の過去のアメリカでの因縁話が語られます。逮捕するまでの一連の行動は短編とも通じますが、第二部はアメリカの開拓地を舞台にした小説の影響を受けたとも言われ、少し冗長な面もあります。ですがホームズ物の第一作として基本的な設定が固められたものとして必読ですし、物語も全体的に読...この感想を読む