世界怪談名作集のあらすじ・作品解説
世界怪談名作集は、昔より世界中の国からの選りすぐりの怪談小説を集めた、珠玉の名作怪談小説集である。この小説作品集は、その昔の日本の小学生が図書館で読むことの出来た本でもあり、独特の懐かしさとと、良い意味での恐怖を味わうことが出来る本である。 収録されている怪談小説は、中国やアメリカ、そして欧州などの多岐にわたる国々の作品が集められており、国や文化は異なれど人の恐怖に対する感情は一応にして同じであるということをこの小説集では伺い知る事が出来る。またこの本に収録された多くのストーリーは、ハリウッド映画のような派手な恐怖は無いものの、読むものをいつの間にか静かに引き込んでいく、静かで美しいホラーと恐怖に満ちている。 この怪奇小説集の翻訳者は、幕末に生まれ新歌舞伎の作者、そして小説劇作家としても知られる岡本綺堂である。彼の劇作家としての独特の翻訳は、この作品集の恐怖をぐっと引き立てており、一度ページを開けば読み終わるまで閉じることが出来ないかもしれない。
世界怪談名作集の評価
世界怪談名作集の感想
ドイルの実体験から生まれたもの?
コナン・ドイル。言わずと知れた名作シャーロック・ホームズの作者が放つ一品です。ドイルは短編集でも怪奇風味の作品を集めたものがあるぐらいで、本作はそのドイルのもうひとつの嗜好をよく現したものです。捕鯨船である北極星号で雪と氷に閉ざされた北極に猟に行くのですが、そこで閉じ込められたような状態になってしまい、その中で船長が精神に異常をきたしてしまうストーリーです。ドイルが過去に船医として捕鯨船に乗り込み、北極などに向かったのはよく知られていますし、自伝でも北極辺りの描写にはかなりページがさいてあります。本作の荒涼として寒々とした氷の自然の描写には、自伝の一部も思い出しました。雰囲気がよく出てるし、ドイルの怪奇作品では好きな方でラストの辺りの恐怖にはぞっとさせられました。