誰に何を言われても消えない後悔なら、自分で一生抱えていくしかないのよ
斎藤夏姫
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高校教師との再会この作品はこの作家の『天使の卵』の続編として出されている。しかし、前作を知らなくても十分楽しめるものだ。主人公は両親が離婚して、祖父母の元で育てられた少年。慎くんは物事を斜に構えてみる大学生。彼がケーキ屋さんでアルバイトをしているときにお客としてきたのが、昔の国語の教師であった夏姫さんだった。一年ほど彼らの担当をしてぱったりと教師を辞めてしまった夏姫さんに再会して、慎くんの胸は高まる。しかし、声をかけることなくお客と店のものとしての距離を保ち続ける。しかしある日、夏姫さんがお店で彼氏とけんかしているところに遭遇。その助けをするとともに、自分が元生徒であることを明かしたところから、二人の距離は少しずつ縮まっていった。憧れていた先生とプライベートで会い、8歳年上の彼女ができた慎くんであったが、夏姫さんのなんとなく距離をおいた態度に不安を感じる。さらに夏姫さんには歩太という仲良...この感想を読む
『天使の卵』の続編です。続編はもう一冊あります。『ヘヴンリーブルー』という題名のものです。この『天使の梯子』か『ヘヴンリーブルー』のどちらかで、歩太が夏姫に「10年苦しんだんだからもう良いんだ」的な台詞を言うシーンがあって、もう号泣でした。設定がもう好き過ぎて、涙腺がやばいです。10年も苦しんでたんだなぁと思うだけで切な過ぎて涙が出ます。『天使の卵』→『天使の梯子』→『ヘヴンリーブルー』の順番で読まないと感動できない仕組みになってる作品だと思います。設定が好きです。10年苦しんで、どれだけ悩んだんだろう。もう、その思いから解放されても罰は当たらないと思いました。
この本は、著者のかなり初期の作品、「天使の卵」の続編です。春妃が亡くなってから10年後の設定で、夏姫、歩太、29歳、夏姫に恋する大学生慎一、21歳。慎一が主人公の話なので、仕方ないのかもしれないけれど、10年間、歩太を忘れられずにいた夏姫が、どうして慎一には心を開き、惹かれていくのか?の書き込みがほとんどなく、それは、「春妃の妹だから」で片づけられている気がします。また、前作を読んでいなければ、推理小説のようで、純愛小説として楽しむのは少し難しいかも。もちろん、それはそれで読めるようにはできていると思います。この著者特有の、爽やかな筆致が、全てを包み込むように作品の質を押し上げていると思います。文句は言ったけど(笑)好きな作品です。
斎藤夏姫
前夜に主人公が、祖母に言ってはいけない言葉を放った翌朝、祖母が心筋梗塞で亡くなっているのを発見。自分のせいで祖母は亡くなってしまったのかもと、自分を責める主人公に言った名言。