緋色の研究の感想一覧
コナン ドイルによる小説「緋色の研究」についての感想が5件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
シャーロック・ホームズが登場する最初の長編「緋色の研究」
戦争から帰ってきたワトソン医師は、友人の紹介により、シャーロック・ホームズという男と共同で部屋を借りる事となった。そのホームズ氏というのが奇妙な人物で、普段は何を仕事としているのかが全くわからない。しかも彼は妙に鋭い洞察力を持っていたのであった--------。この作品をきちんと読み通したのは、2回目くらいになるかと思う。ただ、ホームズとワトソンの出会いの部分は、もう幾度となく読んだような気がするので不思議なものだ。この「緋色の研究」は、それくらい有名な、シャーロック・ホームズが登場する最初の長編なのだ。この作品では、ワトソンがホームズと出会い、二人が共に同じ家に住むようになるくだりから始まっていく。そこでワトソンは、この奇妙な同居人に対して分析を試みるのであるが、これこそが、この作品の一番の見所であろう。実はこの作品こそが、一番ホームズに対する分析、そして詳細事項がきちんと描かれている本といえ...この感想を読む
ワトソンによるホームズ徹底解説
ホームズとワトソンの出会いから始まります。個人的にはシャーロック・ホームズ作品は、ワトソンによるホームズ解説が一番面白いと思っています。なので、この緋色の研究は処女作で、導入部分が多く、ホームズの人物描写が結構多くて、彼の奇人変人ぷりが余すところなく観察されていてかなり興味深いです。そして、ワトソンのこの観察眼が、なぜ推理に活かされないのか、ちょっと疑問に思ったりもします。しかし、その鈍感さと素人な感じがこの小説のトリックを効果的に見せていると思います。ホームズ目線だったらきっと全然面白くないでしょう。ホームズが得意げにワトソンに語るところとかも面白いです。
ホームズとワトソンが出会う第一作
アフガニスタンの戦争で負傷して帰国した医学博士のワトソンが、下宿の同居人を求めて風変わりな男、ホームズと出会います。その出会いと親しくなるまでの話から、ホームズの特異な推理能力、独自の知識、観察眼などを知るにいたります。そしてホームズに来る事件の相談に助手として関わることとなり、事件に首を突っ込む展開になり、後のホームズ物語の原型が出来上がっています。本作は男があばら家で殺害され、壁に謎の血文字が描かれ、女の結婚指輪が残されていたという事件です。ホームズが独自の推理と行動で犯人を突き止め、逮捕するに至ります。そこから第二部の過去のアメリカでの因縁話が語られます。逮捕するまでの一連の行動は短編とも通じますが、第二部はアメリカの開拓地を舞台にした小説の影響を受けたとも言われ、少し冗長な面もあります。ですがホームズ物の第一作として基本的な設定が固められたものとして必読ですし、物語も全体的に読...この感想を読む
ミステリーの古典
シャーロック・ホームズと言えば、ミステリーファンならずとも知っているミステリーの古典のようなものである。その一作目が、この作品であり、ワトスンとホームズが出会うところから始まる。出会いの瞬間から、ホームズはあの推理力を披露するのである。その観察眼を知らずにそのシーンを読むと、ワトスン同様、魔力のような魅力に引き込まれる。ストーリーの根幹にあるのは、モルモン教徒の戒律を利用した横暴により、愛する人を奪われた男の復讐劇である。その風習を知らずとも楽しめるので、その点は安心だが、ホームズとワトスンの掛け合いの真骨頂を楽しむなら、後の短編集をお薦めする。本作は、連載にする予定なく書かれているため、どちらかというと、どっぷりホームズファンの方が楽しめるだろう。
やっぱり王道は好きです
シャーロック・ホームズとワトソン先生が出会う記念すべき第1作目です。小学生の頃、子ども用に編集されたこのシリーズを読んで、ミステリーってこんなにおもしろいんだと思った記憶があります。そして、大人になって改めて読んでもやっぱりおもしろい。王道には王道たるゆえんがあると実感します。第1作目は、シリーズ化される予定がないつもりでドイルが書いているので、その後のシリーズと矛盾があったりして、いろんな楽しみ方ができるお勧めの1冊です。話としては、恋愛がらみの復讐譚なのですが、さすが海外、スケールが大きいです。国を超えて、うん十年をかけて、それでも仇を追い求める執念! そして、ワトソン先生がホームズに出会ったばかりということで、あれこれ事細かに観察しているのが、ホームズの推理とは別におもしろかったりします。本当にこのコンビは最高ですね!