俺はな、優雅に飛んでる鳥が落っこちたりするのを見て溜飲を下げるよりも、絶対飛ばないような牛が空飛ぶのを眺めて、爆笑する方が好きなんだ。面白味を感じるんだよ。
服部勘太郎
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異色の伊坂幸太郎作品「あるキング」の作者である伊坂幸太郎の代表作として名が挙がるものいえば、映画化もされた「グラスホッパー」やその続編の「マリアビートル」、「陽気なギャング」シリーズなどだろう。彼の作品は殺し屋やギャングなど特殊な職業についている登場人物たちの冒険譚が臨場感たっぷりに描かれ、いつの間にか読者を非日常へ攫っていく、という形態が多い。今回も無意識にそのような、端的にいえばハラハラドキドキのアクションとそれを支える複雑な人間ドラマを期待して読んだわけだが、正直読み終わった直後の気持ちは「拍子抜け」というのが一番近い。主人公の王求は天才野球少年であり、教育熱心な両親に育てられ、最強の野球選手になるも天才ゆえの孤独から逃げられず、最後は死んでしまう。この一冊をまとめるとこんな感じで片付けられてしまうのだが、このストーリーが伊坂らしからぬ淡々とした感情を押し殺したような文章で綴られ...この感想を読む
服部勘太郎
主人公は野球の天才だが、経歴が複雑である。その主人公が入りたいと希望する球団は弱小であり、その球団のオーナーが部下や友人と会話している時に登場するセリフ。テレビに映る強豪チームの選手がもし自分の球団にいたら転落してしまう、という会話の中で使われた。