その死は無意味だったが、再生には必要なことだったのかもしれない
「後悔し続ける」ためだけに生きることを選択した一言でいうと「戦時下で最も弱い立場であった純真無垢な女学生が、秘密作戦遂行のため利用され、口封じされた」物語である。しかし、利用するつもりも無く、そのあまりに惨い最終命令の撤回に奔走した作戦遂行責任者の真柴少佐と小泉中尉、作戦の最終実行者となるはずだった軍曹や生き残ってしまった少女の無力感が、作者の圧倒的な筆力で描き出され、彼らの万感が胸に迫る。真柴は「幽窓無暦日」という言葉の重みを自ら抱え込むように惨めな人生を選択、曹長は最終命令であった秘密の保持の遂行に人生をささげる。小泉中尉は少女たちと共に眠る財宝を日本再生の切り札にするために命を投げ出す。少女たちも、大人たちも、あまりに命を軽んじてないか?そのことがあの当時の日本の常識だったのか?だとすると、その犠牲の礎の上に現代教育を受けることができた自分たちがいるということになる。そして作者が...この感想を読む
3.53.5
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