鉄道の歴史を感じるミステリー短編集
西村京太郎さんの鉄道や旅への情熱を感じる一冊西村京太郎さんといえば鉄道ミステリーで有名だが、実際には多くの作品を読んでいると、本格的に時刻表や鉄道の特徴を生かした作品より、社会派ミステリーや事件が起こった土地の特色で描かれた作品の方が多い。しかし、この「空白の時刻表」は、まさしく多くの人が西村京太郎さんの鉄道ミステリーとはこういうもの、と思っているイメージ通りの作品が掲載されている。短編が6作品だが、どれも時刻表や鉄道の特徴、車両の構造について詳細に知っていないと描けない作品ばかりで、一話一話は短いながらも非常にスリルと意外性に富んだスピード感あふれている。こういった作品を描くには、当然のことながら取材が必須なわけだが、本当に鉄道や旅が好きで、ただ旅情にひたるだけではなく貪欲な探求心がないとここまでのトリックは思いつかないだろう。今の鉄道事情では実行不能なトリックもあるが、それも歴史を感...この感想を読む
4.84.8
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