未来は神様のレシピで決まる
優午
理解が深まる小説レビューサイト
小説レビュー数 3,368件
伊坂幸太郎デビュー作です。デビュー作からこんなに完成された面白さ?と圧倒されました。ファンタジー色の強いミステリーで、逸脱した設定の本作。鎖国状態にある「萩島」。本島と交流を絶って独自の文化を長い時間をかけて創りあげてきました。言葉をしゃべる案山子・午優、嘘しか言わない画家、島のルールで殺人を許された男など萩島の世界に見事にはまってしまいました。ストーリーの中、散りばめられた伏線、後半それらが見事に回収されていく展開がスピード感があって一気に読みすすめてしまいました。萩島にカケテイタモノのが、とても身近なもの・・だったけれど、私にも世界にも必要なものです。
伊坂氏のデビュー作であり発行は2000年12月である。彼はインタビューで「全ての長編と短編ははつながっているんですよ」と語っている。その彼の描く一作目が本作なのである。なるほど物語の舞台である"荻島"今に通じる伊坂節を力強く感じさせるものが多々ちりばめられている。物語の中核をなすしゃべる案山子「優午」をはじめ全ての登場人物に重要な役割があり、そして魅力的な個性を感じました。その丁寧なキャラの個性作りはデビュー作ならではなのかとも思う。物語は中盤を迎えたところで一気にミステリーを含んだものへとがらりと姿を変える。どこか童話的な舞台の中で解き明かされていく様は絶妙な彼の感性を感じました。総評としてはこれはデビュー作ではおよそありえないようなクオリティーであることは間違いないです。
よみがな:ゆうご
優午
主人公が自分の将来について悩んでいる時に助言した言葉。未来の出来事は様々な要素によって作り上げられるという意味。
ウサギさんのばあさん
家族が死んだことについて、ある者に恨みを持っていたが、道で死んでいた犬を見て、大切な人生を精一杯生きようと前向きな気持ちになったときの言葉