賛否はあるが、戦時中の空戦の貴重な資料
こうも好き嫌いが分かれる戦争体験者の自叙伝も珍しい坂井氏の大空のサムライは、近年永遠の0が映画化等でヒットした際に再注目された。永遠の0の著者百田氏が参考にした著書としても有名である。初版は1972年と古いが、非常に読みやすい、若々しい印象の文体で古臭さを感じない。いわゆる第二次世界大戦中のエースパイロットの自叙伝なので、狂信的なファンもいるし、同時に物凄いアンチもいると知って驚いた。永遠の0は史実に基づくフィクションなので好みもあるだろうと思うが、一般的に自叙伝の様なものが批判されることは珍しい。批判の原因は史実との若干の食い違いだったり、戦後の不祥事や、やや性格的には頑固一徹な著者とそりが合わぬ人たちとの間で見解の違いだったりがあったようだが、正直現代の私たちには何が真実なのかよくわからない。文章や文学としての好き嫌いだけに焦点を当ててみると、次のようなことが言える。坂井氏の自叙伝から...この感想を読む
4.04.0
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