幸福の黄色いハンカチの感想一覧
映画「幸福の黄色いハンカチ」についての感想が5件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
風景と人物のカットバックという古典的手法を使い、ひとりの中年男と若い男女がそれぞれの愛を獲得するまでを描いたロード・ムービーの佳作 「幸福の黄色いハンカチ」
「幸福の黄色いハンカチ」は、実に巧みな語り口によって、ごく単純なストーリーを、気持ちよく一気に見せられ、爽やかな感動を味わえるロード・ムービーの佳作だ。ひとりの若者が、北海道の原野を女の子とドライブしたいという夢を実現させるために、東京からフェリーで釧路へ行く。この若者を演じるのは武田鉄矢。彼にとって、この映画は初出演だが、オッチョコチョイだが悪気のない青年を実に達者に演じている。出色のコメディアンぶりで、彼のなりふりかまわぬ楽しい安っぽさによって、湿りがちなこのストーリーが、どれくらい明るくなっているか分からない。この青年が、網走駅前で引っ掛けたのが、桃井かおりの演じるひとり旅の女の子。職場で面白くないことがあって、むしゃくしゃして旅に出ている。そこで、もうひとり、高倉健の演じる島という中年男と出会い、三人で車の旅をすることになるのだ。青年はすぐにでも彼女をモノにしたい。彼女は島を盾...この感想を読む
昭和を代表する名作。やはり名作はいつ観ても名作に違いない
昭和を代表する日本映画の一つですが、今まで観る機会がなく、同名タイトルの元気が出るテレビのワンコーナーしか認識がなかったのですが、たまたま先日友人の家にDVDがあったので暇つぶし程度に視聴してみたのですが、失礼ながら予想を遥かに上回る感動作でした。やはり30年以上昔の作品なので、言い回しとか現代とは微妙にズレがあり、違和感がまったく無いわけではないのですが、現代映画と遜色が無いほどすごく練られていて面白い映画でした。若干武田鉄矢さんの演技がくどくて食傷気味になりますが、むしろこんなくどい男の役のほうが金八先生よりハマリ役なのではないかと思ってしまいました。そしてやはり高倉健さん。渋いとは彼の事を指す為に作られた言葉のようにすら思ってしまうほど。そして今の高倉健さんがこの映画から35年以上経っているとは思えない若さに改めて敬服するのでした。
黄色いハンカチに込められた想い
日本を代表する名監督、山田洋次監督ヒット作の一つと言えば、この作品であろう。「失恋の旅に女性を求めた出た男」、そして、「そんな男にナンパされた一人の女」。更に「辛い過去を生きる元囚人」。そんなトリオによる、3人旅のストーリー。過去を背負い生き続けるそれぞれの人生模様を見事に描き、優しさ、切なさを見事に表現したドラマチックな映画である。さて、タイトルにも登場する「幸せの黄色いハンカチ」そこには、どのような意味が込められているのだろうか。男の純情、そして女との愛情、正に不朽の名作にふさわしい映画だといえるだろう。(1977年10月公開作品)
本当の愛が何かおしえてくれます
冴えない主人公がお金をためて念願の車を買って、ドライブに出かけ、途中でたまたま知り合った女の子を乗せて旅に出ます。主人公は絵に書いたような軽薄な恋の遊びを夢見ており、その通りに女の子を引き込もうとして失敗して、それに巻き込まれる形でもうひとりの凄みのある男が登場し、三人で旅を続けます。そしてひょんなことから男が刑務所から出てきたばかりで、恋人が自分を受け入れてくれるかどうかの途中にいることが分かります。話を聞いていた二人は自分らを省みて、本当の愛について思い直すこととなります。最後の結末は歴史に残る名シーンでしょう。武田鉄矢がこの頃からいかにもな武田鉄矢が演じるような役を演じており、その分はまっています。高倉健の渋みも既に確立されている気がします。
幸せ一杯の「幸せの黄色いハンカチ」
幸せ一杯の「幸せの黄色いハンカチ」日本の風土をこよなく愛し、人間の機微を敏感に捉えることに天才的とも言われる山田洋二の監督作品です。北海道を旅行した際に夕張を訪れたことがあったが、かって炭鉱で栄えた市街地も、今は負債都市の烙印が押されているせいか静かな佇まいであった。 ただ名物の夕張メロンの色と味は大納得であった。映画では、主人公(高倉健)が妻(倍賞千恵子)の待つこの夕張の街に帰ってきた時に、約束通りの“多くの黄色いハンカチ”が翻っていたのである。「網走刑務所で一人の男が刑期を終えて出所してきた。 だが彼の表情は出所して自由の身になったという安堵感は無く、何か物憂い感覚、迷い、恐れのようなものがあった。 そんな中、男女二人のカップルと知合いになり、行動を共にすることになった。 心が通じ合えたと感じた彼は、過去の妻との約束事を話す。 それは「まだ自分を待っていてくれるなら、黄色いハンカチ...この感想を読む