あげまんの評価
あげまんの感想
世俗を生き抜く女
伊丹十三監督の傑作。宮本信子演じる同居した男たちに幸運を授けるが、自らは薄幸な女「あげまん」がさまざまな男たちのもとを転々とする波乱の生涯を描く。最終的には津川雅彦演じる、本当は有能なのだが万事にだらしがない(特に女に関して)男のもとに身を寄せ、彼を支えることになる。あげまんなしには生きていけない男だ。この作品の中の男たちは皆ご都合主義的で権力者の仮面をかぶっているが本当は弱い連中ばかりである。主人公のあげまんは彼ら俗物どもにさんざ利用され、翻弄され、さらには捨てられる。しかし、他の伊丹作品と同じく女は強い。男のむごい仕打ちを受けながらも殊勝に生きていく主人公の姿は涙を誘うものがある。小汚い俗物だらけのこの作品が痛快な印象を与えるのはそのためかもしれない。