その一杯が命取り
丹野鉄郎
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1960年、キネマ旬報ベストワンや各映画賞で評価を得た市川崑監督のベストの一本です。特にカメラの宮川一夫と共に色彩技術・田中省三が行った、全編をセピア色に染めた技術が目を引きます。全てが色あせて、静かで遠い昔話のような色調。その中に何度か出てくる「赤」がより鮮烈な印象を残します。姉と弟の絆が、男と女を超えている普遍的な愛の証しなのかもしれません。川口浩の姉を演じる岸恵子の初々しい美しさも見どころの一つになっています。ラスト近くで、弟が結核を患って入院してしまうシーンなど、切なさがひしひしと伝わってきます。そんな究極のラブストーリーをあらゆる世代の人に観てほしいと思います。
丹野鉄郎
10年近く連絡が途絶えていた鉄郎が、姪の小春の結婚式に現れた。酒癖の悪い鉄郎に、お酒を飲まないように釘をさす吟子だったが、乾杯の一杯ぐらいはいいじゃないかと言う。が、鉄郎は一杯も飲まないと言う。
丹野鉄郎
小春の結婚式で酔いつぶれた鉄郎は、吟子の家に泊まった。次の日、吟子に「今、何で食べてるの?」と聞かれた鉄郎は、たこ焼き屋で苦労している話しをする。その時の鉄郎のセリフ。
高野吟子
ある日、小春が実家に帰ってきた。結婚生活はうまくいっていないようで、会って話す時間がないんだと言う小春。母親の吟子は小春の夫に会いに行き、話しをする。