男が女に惚れるのに歳なんか関係あるかい
車寅次郎
理解が深まる映画レビューサイト
映画レビュー数 5,784件
三十作をこえるあたりから、マンネリ感を感じさせることもあるシリーズの中にあって、久しぶりに素晴らしい出来栄えを見せたのが本作“知床慕情”でした。 寅さんも明らかに50歳を超えているので、昔のように激しい恋に身を焦がしたりハチャメチャな馬鹿さ加減を披露することができなくなってきています。 そうすると、誰か他のキャラクターが巻き起こす騒動に寅さんが巻き込まれるーという展開が必要になってくるわけですが、男にしろ女にしろ、寅さんをふりまわせるほどの存在感をもったキャラクターなどそうそういるものではありません。 その奇跡的な例外が三船敏郎という俳優さんでした。山田洋次・渥美清という黄金コンビの間に投げ込まれたこのサムライはスターは、喜劇映画においてもすばらしい名演を残してくれました。 必見の作品です。
自然の美しい北海道・知床を舞台に繰り広げられるのが、今回の寅さんです。長年一人暮らしをしている獣医師・上野順吉に三船敏郎、上野が恋心を抱いているスナックのママ・悦子に淡路恵子、上野の娘・りん子役に 竹下景子と、演技者がズラリと揃った楽しい作品になっています。高度成長時代に疲弊していった、地方の問題をさらりとプロットの中に組み込んでいるあたりは、山田洋次監督らしいところです。地方の農村で頑張っている人間への、希望と期待を込めたエールが今回の作品に感じられます。いつも通りの「とらや」の人々と寅さんとのやり取りは定石通り。寅さん演じる渥美清とベテラン・三船敏郎との演技のやり取りがさらに映画を盛り上げてくれています。
車寅次郎
寅さんが泊まった家のおじさんが好きな人に思いを伝えられず、年齢を気にしていて寅さんがズバリ言ったシーンです!