土方歳三と武士 - 燃えよ剣の感想

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燃えよ剣

4.704.70
文章力
4.88
ストーリー
4.75
キャラクター
4.75
設定
4.75
演出
4.63
感想数
5
読んだ人
8

土方歳三と武士

4.04.0
文章力
5.0
ストーリー
4.0
キャラクター
4.5
設定
4.0
演出
4.0

新選組副長土方歳三の一生と新選組を綴った物語です。

戦国時代の武士VS武士の覇権争いとは違い、江戸幕府末期に起こった争いの構図は武士VS庶民や下級武士という面もあると思います。

今までは決して逆らうことのできなかった上級武士達に対しての不満が爆発し、士農工商という絶対的だった身分制度を覆してやろうと立ち上がった人達も多かったのではないでしょうか。

そんな中、新選組の中心的存在である土方歳三や近藤勇は農民という身分で武士階級に叛旗を翻していくのではなく、あくまでもあこがれである武士になろうと励んでいく姿が切なくもあり面白くも感じました。

土方歳三は新選組において隊士の細かな心情やちょっとした心の移り変わりなどを鋭く読み取る鬼副長として描かれているにもかかわらず、倒れ行く江戸幕府や終焉を迎えるであろう武士の世といった大きな時代の変化には目を向けることなく、一心に武士になろうとする姿勢が無邪気にも感じます。

戦闘力的には幕末最強と言われるほどの剣客集団である新選組ですが、その集団を作り上げた土方歳三の意志の強さと巧妙さとは裏腹に時代の流れの前では無力でしかなかったギャップに考えさせられるものがありました。

どんなに優れた組織でも方向性が間違っていると潰れてしまう運命しか待ち受けていないということを感じてしまったのと同時に、土方歳三の武士としての生き様のかっこよさを感じる作品でした。
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新選組副長である土方歳三に、組織のオルガナイザーの役割を与え、武士道の美意識という衣を着せることで、本物の"男の生き様"を描いた「燃えよ剣」

司馬遼太郎の「燃えよ剣」、上・下巻あわせてのレビューです。かつて新選組と言えば、鞍馬天狗の敵役。近藤勇は、芝居や講談で有名な「今宵の虎徹は血に飢えている」という名文句の豪傑然としたイメージの人物だ。沖田総司は、結核を病む薄幸の美剣士。そして、最も損な役回りだったのが、策謀をめぐらす冷酷非情な軍師・土方歳三であったと思う。その土方が、今日、一躍理想の男性像として受け止められるようになったのは、ひとえに司馬遼太郎の「燃えよ剣」のおかげではないかと思う。この作品で土方は、武州多摩の田舎剣客から身を起こし、風雲急を告げる京洛の巷に、甲州勝沼に、あるいは北の果て函館に、落日の徳川家に殉じ、果敢に散っていった男として、実に魅力的に描かれていると思う。そして、同時に彼が取らざるを得なかった"非情な行動"は、頑なまでに徳川家への、いや滅びゆくものへの節義を守るため、自らに"鉄の掟"を課した男のロマンとして...この感想を読む

5.05.0
  • dreamerdreamer
  • 201view
  • 2238文字
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燃えよ剣

司馬遼太郎の「燃えよ剣」は、北海道出身の子母澤寛の「新撰組始末記」がベースとなって書かれているといいます。隊長の近藤勇同様、多摩時代から新選組結成を経て各地での戊辰戦争、隊長の近藤は途中で戦死するが、土方は蝦夷地での箱館戦争で戦死するまでの生涯を描がいています。新選組時代の土方は鬼の副長として恐れられていたが、次第に角が取れて丸くなり、箱館戦争においては仏の隊長として尊敬されているのです。北海道・函館の五稜郭は観光名所として大勢の観光客が訪れているが、戊辰戦争の最後の戦いの地としては、余り知られてはいないようです。江戸から明治に改元する1868年、京の“鳥羽伏見の戦い”に始った戊辰戦争は、明治期になっての1869年の箱館戦争でもって最終的に終了するのです。土方は、官軍が函館の総攻撃を開始する頃、敗色が濃くなっても新選組や前線兵士を救うため、わずか人数を従え騎馬で出陣している。元より死を覚悟して...この感想を読む

4.54.5
  • orimasaorimasa
  • 222view
  • 454文字

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