この事件は、柏木卓也君による、柏木卓也君の殺害事件です。柏木卓也君は、未必の故意の殺意を以って柏木卓也君を殺害したと、俺たちは判断しました
竹田陪審員長
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ソロモンの偽証 第III部 法廷 は、宮部みゆきの小説で、新潮社から2012年10月11日に販売されている。 今作品は、宮部みゆきの小説「ソロモンの偽証」シリーズの第一部・事件、第二部・決意に続く第三部・法廷となっており、クリスマスの未明に転落死した男子中学生・柏木卓也14歳をめぐる事件の学校内裁判を中心にした物語である。 また、今作品は映画化されており、2015年3月7日には「前編・事件」、2015年4月11日に「後半・裁判」の2部作が公開されている。 クリスマスの未明に発生した男子中学生転落死事件は自殺や事故、他殺などの疑念が広がる中、同級生の犯行を告発する手紙が届く。 殺害容疑にかけられた同級生・大出俊次の学校内裁判の冒頭、弁護人・神原和彦は殺害したとする根拠はなにもないと宣言し、問題児のレッテルを貼ることで、スケープゴートにしているのだと主張するのだが、対する検事・藤野涼子は証人として三宅樹里を出廷させる。 樹里は大出を告発した本人であった。クリスマスイヴの夜、校舎の屋上で何があったのか!?
長かった前置きが終わり、いよいよ真相を明らかにする法廷が始まります。これまでに登場した数多くの人物が、複雑かつ絶妙なタイミングで証人として召喚されます。「なるほど、こいつはこうやって使うんだ!」という意外な展開もあり、非常に面白いです。こう考えると、今まで少しだらだらしてしまった人物紹介的な挿入部分も活きてきて、さすが宮部さん!と感じました。あとは、肝心のラストですが、本編自体のラストはまず良かったのですが、エピローグは何を伝えたいのかが感じ取れず物足りなさがありました。本作は、全体的に青春ドラマ+学園ミステリーくらいの域ですので、ホラー要素は皆無でスリル感が少なかったです。ただやはり、宮部作品!登場人物に命を与えるような筆力は圧巻ですので、文芸作品として優れています。
長かった下準備も終わり、ついに学校裁判がスタート。検事、弁護人、判事、廷吏、証人、様々な人物が法廷に現れ、柏木卓也の死について真実に近づいていく。宮部みゆきの文章は、とにかく読みやすい。難しい言葉も出てくるが、これだけの長編をさらりと読ませてしまうところはさすが。ただ、このストーリーは、やはり登場人物が「中学生」ということが気になるか否かで評価が分かれると思う。小難しい事を考える中学生はいるし(現に自分がそうだった)、ニュアンスは異なるかもしれないが、読んでいる際に何度も頭をよぎった「巌頭之感」も16歳とまぁ中三に近いとしではある。ただ、これだけの人物が揃い、大人も揃ってついていくという展開が、事実にもありえない小説、という感がありすぎて…。これが、高校だったらもっと楽しいのに、と何度思ったことか。エピローグ、彼だけではなく、それこそ検事や弁護人の現在も知りたかったなぁ、という尻つぼみ感...この感想を読む
竹田陪審員長
まさに、これで大出俊次が有罪になるのか、これから陪審員が入廷し、評決をあつめ、よみあげたあとに、どう判断がでたかという緊迫の場面です。