塩田作品の魅力が一番楽しめる作品
『どこまでもいこう』で小学生男子の世界をおもしろ切なく描いた塩田明彦監督が、同じテーマで中学生女子の世界を暗く暴力的に描いたのが本作品です。 どちらも思春期にさしかかった子供の、大人の世界へ踏み出す瞬間を切り取った作品ですが、この作品はよりダークサイドに傾いたつくりになっています。 公開当時と、最近の2度観賞しました。公開当時は主人公の年代に近かったこともあり、はげしく自己投影して衝撃を受けていましたが、今見ると通過点を遠くから切なく眺めている感覚でした。 かといって、よくある青春映画みたいに恥ずかしさを覚えることはなく、自分の中での評価はいい作品だということに変わりはありませんでした。 監督の冷静な視点によるのかもしれません。 塩田監督の作品の魅力は独特の闇にあります。ですから本作品は塩田映画の魅力を知るには一番いい作品だと思います。また、監督の一番いい時期の作品だとも思います。 全国公開作品を撮るようになってから、あくが薄まって魅力を感じなくなったというのが正直なところです。 ちなみにこの作品には違った面での見どころもあります。まず一つには今をときめく宮崎あおいと蒼井優という二人の女優さんの無名な頃の演技が見られるということと、もう一つには『どこまでもいこう』から見ているファンにとっては、この作品に出演していた子役さんのちょっと成長した姿が見られるという親戚のおばちゃん的な楽しみがあるというところです。
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