社会問題である「いじめ」「学校の隠蔽体質」に焦点を当てたミステリー - ソロモンの偽証 第I部 事件の感想

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ソロモンの偽証 第I部 事件

4.384.38
文章力
4.83
ストーリー
4.17
キャラクター
4.50
設定
4.83
演出
4.67
感想数
4
読んだ人
11

社会問題である「いじめ」「学校の隠蔽体質」に焦点を当てたミステリー

4.04.0
文章力
-
ストーリー
-
キャラクター
-
設定
-
演出
-

本作は宮部作品の中でも非常に読みやすいです!主人公が中学生達だからですかね。 ある日、不登校だった生徒が校庭で死体で発見されて、それが自殺なのか他殺なのかというところからストーリーが始まっていきます。 そこから事件を目撃したという告発状が出回ったり、その真否についていざこざがあったり、新たな事件が起きたり、人間関係が複雑になっていきます。 教師や警察、親、友人、色んな人物と協力しながら、あるいは敵対しながらゲームのように進んでいきます。 展開は非常に面白く、読者を飽きさせない書き方です。 さすが宮部さんだけあって人物像の描き方も上手く、一人一人に魂がこもっています。ただ現実として、ここまで物事を深く考えられる中学生はいないと思いますが。 あと、時代背景がやけに古くて今の人が読むと少し違和感はありますね。携帯電話はない時代の中学生なので(ネタバレになりますが、公衆電話なんかが一つの鍵になるくらいです)。

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なぜこんなに続きが気になる作品に仕上がっているのか

現代ミステリーの最高峰!?中学生に次々とふりかかる事件。小説を買う時は裏表紙のあらすじを見て買うという人は少なくないだろう。私もその一人だ。あらすじを読めばこの作品が「中学生の死」を題材としたミステリー小説だということが分かる。ミステリーとはいわば謎解きだ。そこで私は死んだ中学生は他者によって殺害され、犯人を暴いていくものだと仮定して読み出した。しかし読み進めていけばいくほど、死んだ中学生柏木卓也は、自殺だったと判明していく。警察では自殺として不審な点はないとされ、父親は事件前の息子の様子を抜け殻のようだったと語り、自殺を予期していたと言う。柏木卓也が不登校になる直前に争った三人組、大出、橋田、井口の事件後の様子からも、彼らが柏木を殺したとは考えづらい。ということは、このミステリー小説は事件の犯人を明らかにしていくという単純なものではない。柏木の死の裏にはどんな秘密が隠されているのか。...この感想を読む

4.54.5
  • せきてぃせきてぃ
  • 187view
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さすがの宮部みゆき

永遠の閉鎖社会。宮部みゆき先生。言わずと知れた現代の大物作家です。宮部先生の作品はほぼくまなく読んでいますが、ここ何年かは時代物を多く書かれていて、時代ものはあまり好きではないのでしばらく離れていましたが、久々の現代ものでの模倣犯以来の大作、このソロモンの偽証はもう待ちに待ったという感じでした。しかも題材が”学校”です。この永遠の閉鎖社会をどう描くのか?非常に興味津々でした。しかも、どうも’いじめ’絡み・・・?とも言える内容で、どうやってこの難しい題材を調理して書かれたのか?非常に楽しみでもありました。この何十年も、特にネットが普及し、ソーシャルネットワークが若者の生活の中心となり、その中でのイジメを苦に自殺する少年少女が後を絶ちませんし、学校側がイジメが存在していた、それが原因であったと認めたケースはほぼ稀です。警察は自殺はそれ以上の捜査はしませんし、学校側も事を大きくしたくない。残...この感想を読む

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  • Toatch21Toatch21
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  • 2001文字

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