最後まで退屈しない短編集
地下街の雨:泥沼かと思いきや感動的な結末導入のところで、これは泥沼の恋愛話が始まるのだろうと予測しましたが結果としてはまったく違って感動的で粋な話だったなという印象です。待ち合わせしている男女を観察している麻子が「約束に遅れてしまって微笑んでいられるのは、遅刻を笑って許してくれる相手を待たせている女性たちだけの特権」と思っているところからこの段階での麻子の卑屈な感情が伝わってきましたね。その光景を微笑ましく見ることができるのか女性に妬ましい感情を持って見るのかは見るその女性の意識次第なのだと改めて感じました。でも導入の部分で曜子のことを「あの女」と書いているので恨みをもった女性だと思わせてしまう文章ですよね。最後まで読んで、曜子との関係性や出来事を考えると「あの女性」のほうが恨みを頂いている印象がなくてよかったような気がしましたが、まあその表現があったので最後の意外性があったのでしょう...この感想を読む
4.04.0
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