蒲生邸事件のあらすじ・作品解説
「蒲生邸事件」は宮部みゆきの小説である。 1994年サンデー毎日で連載され1996年単行本で出版された。2000年に文春文庫より文庫化されている。推理小説でもあるがSF小説の面もあり1997年第18回日本SF大賞を受賞している。また受賞は逃したが平成8年の直木賞の候補にもなっている。 「週刊文春ミステリーベスト10」1996年度国内部門第3位、宝島社「このミステリーがすごい!」1997年国内部門第4位である。 尾崎孝史は予備校の受験のため都内のホテルに宿泊するが異様に「暗い人」と遭遇する。その夜ホテルが火事になり逃げ遅れた孝史は暗い人・平田に助けられ気が付くと昭和11年2月26日にタイムスリップしていた。 身を寄せた蒲生邸は陸軍の蒲生憲之大将の邸宅で2.26事件を受け大将が自決したと思われたが、孝史は疑問を感じ調べ始める。 1998年3月、いしだ壱成主演でNHKのBS9でドラマ化され、1999年NHK-FMで10回のラジオドラマとしても放送されている。
蒲生邸事件の評価
蒲生邸事件の感想
SF小説を初めて完読できました
高校生の頃に一度読んだ切りなので、もう一度読みたいと思っている作品です。歴史は変えられない。変えようとしても、また別の似たような事が起こる。↑こんな感じのセリフが、心に響いて忘れられずにいます。この作品で初めて、SF小説が苦手なのに完読することができました。それは、リアルな感覚と、創作臭い感覚の間を行ったり来たりさせてくれて、とても楽しむことが出来たからだと思います。宮部みゆきさんの作品の中で一番印象に残っている一冊です。丁寧に描かれた世界があって、その迫力がすごかったです。本当に面白かった。もう一度、絶対読みたいと思います。
歴史タイムスリップの旅へ連れて行ってくれます
ミステリー小説、時代小説を得意とする著者ですが、この小説は、タイムスリップものなので、宮部みゆきのSFファンタジーの世界といっていいでしょう。大学受験に失敗したある青年が、受験のため、あるホテルに宿泊したら、火事がおき、なぜか昭和11年の日本にタイムスリップしてしまいます。ニ・ニ六事件が起きていた時代で、これから戦争へと向かっていく空気があります。青年は、蒲生家で発生した殺人事件を解決するために、頑張ります。ちょっと頼りない青年が、だんだん成長していきます。最後は、泣けるような、ちょっと切ないような感動の残る、SF風ミステリーです。あまり、ミステリーが好きでない人でも、歴史が好きな人であれば、読みやすいのではないかと思います。