長い長い殺人のあらすじ・作品解説
「長い長い殺人」は宮部みゆき作の連作推理小説である。1989年「別冊小説宝石・冬号」に掲載された短編から始まる9編と書き下ろしの2編の11編の短編を1997年5月光文社・カッパノベルスから出版された。1996年には光文社文庫として出版されたが2011年光文社文庫プレミアムとしてリニューアルされている。 各短編には「(人物)の財布」というタイトルが付く。保険金狙いと思われる殺人事件が発生し刑事、目撃者、証人、探偵など事件にかかわる人物が持つ財布がその持ち主のことを語っていくという体裁がとられている。また本作は「模倣犯」につながる作品と宮部は述べている。 2007年11月WOWOWのオリジナルドラマとして長塚京三、仲村トオルなどの出演で制作・放送された。2012年5月には95分に短縮されTBSにて「宮部みゆき4週連続極上ミステリー」の第3夜としても放送された。 2008年WOWOW版がDVDとしてソニーピクチャーズより販売された。
長い長い殺人の評価
長い長い殺人の感想
擬人化傑作ミステリー
事件が起き、それにまつわる人々の「財布」の視点から描かれているミステリー。この、「財布」からっていうのが実に面白い着眼点で。人は、財布にいろんなものを入れるもの。お金以外の。それがその持ち主の個性を表わすものでもあるし、それぞれの財布にも多種多様な個性があってとても面白い。それだけだとトンデモ設定なようだが、そこはちゃんと、宮部みゆき節とでも言おうか。物語としてもミステリーとしても楽しめる作品だった。人間ドラマがすごい。犯人の、狡猾なやり口。彼を善人と信じ込まされている男まで出てくるのがせつなくて。よくできているなぁ、と。宮部みゆき作品は全体的にそうだと思うが、小さな男の子が頑張っている姿、いいなと思う。
財布からの視点が面白い
宮部みゆきによるミステリ小説で、お話の語り部が登場人物の財布でありそれぞれの財布の立場・視点から物語が進められていく異色の作品。ストーリーとしては、ある男性がひき逃げに巻き込まれ死亡し3億円近くの保険金がかけられていた。保険金の受取人はその男性の奥さんであり、殺人の疑惑が向けられるが、彼女には完璧なアリバイがある。そこからその女性には愛人が存在し、その愛人の前妻もひき逃げで死んでいることが明るみなって、連日、マスコミが大騒ぎ。また、モデルにしたのかはわからないが、マスコミへの猛烈なアピールがロス疑惑を思い出させ、インパクトが残り、人間の怖さも見ることができる。財布からの視点と言うのが新しく、一気に読める作品です。