夫婦の恋愛事情が目に見えて分かる大人の映画 - 今度は愛妻家の感想

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今度は愛妻家

4.254.25
映像
4.00
脚本
4.50
キャスト
4.75
音楽
3.75
演出
4.50
感想数
2
観た人
3

夫婦の恋愛事情が目に見えて分かる大人の映画

3.53.5
映像
3.0
脚本
4.0
キャスト
4.5
音楽
3.0
演出
4.0

目次

豊川悦司のクズ男加減が最高

若いころの豊川悦司は『愛していると言ってくれ』『青い鳥』などのイメージが強く、抱かれたい男No.1にも輝いたほど当時は綺麗で神々しさもある素敵な男性を演じる機会が多くありました。ですがこの作品の豊川悦司はそのイメージとは一転、浮気癖があり食べたいものを好き勝手に食べ、薬師丸ひろ子演じる妻さくらにそっけない態度をとるといういわゆるダメ夫を見事に演じています。もともと豊川悦司の演技力には定評がありましたが、コミカルに演じられている俊介はクズな部分の方が多いのですが愛嬌もありとても憎めない人間らしいキャラクターでした。

あまりのクズ加減にとても笑るシーンがたくさんあり、ここまでやり切ってくれるとすっきり感まで味わえてしまうのですね。

周りのキャラクターも個性豊かで魅力的

さくら演じる薬師丸ひろ子はもちろんなのですが、北見家に訪れてくる人々もとても個性的でみんなどこか少しおかしくてどこか可愛らしいキャラクターばかりで魅力的です。

俊介に映画の主演オーディションのために出す写真を撮ってもらいたくて訪れてくる若手タレントで、女優を目指している吉沢蘭子に水川あさみ。俊介の事務所に所属している若手カメラマンに濱田岳。新宿二丁目でオカマバーを経営している還暦を過ぎたオネエに石橋蓮司。その他にも城田優津田寛治奥貫薫井川遥など脇役も個性的で実力派たちが勢ぞろい。安定感のあるお芝居をされている方がとても多いので観ていて安心できる作品でした。

何といっても濱田岳が演じるカメラマンは才能はあるのに優しさ上に俊介を見捨てられなかったり、蘭子と急接近し蘭子の妊娠に親身に付き合ったりと気の弱い男を演じるのがたまらなく魅力的です。多くの作品でその魅力を発揮していますが、私は濱田岳のがとても好きです。少し助けてほしそうな、しかしどこか悟っているような瞼や眼球の動きが今回も最大に発揮されていました。そしてここぞというときに発揮してくるキャラクターの中に存在している強さを見せるシーンも、それまでには見せてこなかった力を発揮してます。ずっと濱田岳が出てくるシーンを楽しみに待っている自分がいました。

まさかの最後の結末

それまでの話の展開に少し違和感を感じていたのはこういうことだったのかと、最後の最後に分かる演出にはさすがに驚きを隠せなかったのと同時に、そういうことだったのかと納得しました。

結果的にさくらは死んでしまっていたのですが俊介が何故そこまで人を写した写真を撮れないのかという理由も、元はさくらを撮っていたからということやこれまでの自分の過ちをどこかで後悔していることを表してるんだろうなあと感じました。

そしてストーリーは俊介は今度さくらと結婚出来るならばしっかりとさくらを愛して伝えて大事にしていくという展開で流れていくのですが、きっとそれはさくらがいないから気づけたことであって実際に出会って結婚していたら話の流れ通りに離婚してさくらは別の男性のところに行ってしまうのだと思います。最後の離婚前の旅行で事故に遭ったというのにも全て意味があったのかもしれませんね。

私は最後クリスマスに俊介がさくらを思って成仏できずに苦しんでいるシーンはとても豊川悦司の演技力に感銘を受けました。やはり今までそういった物語性の強い作品に出演していただけあって説得力の高いお芝居をしていたように感じます。成仏できていないので実際には幽霊としてさくらが出てきていたのですがもちろんお芝居なので薬師丸ひろ子も相手役として存在しているうえで演技をしていたのだと思いますが、最後のシーンはさくらが存在しているのに存在していない相手を対象にお芝居しているのがとても分かったからです。それは本当に技術のある人間じゃないとできないことだと思いましたし、これまで役者としてたくさんの作品に携わってきた豊川悦司だからこそ出来る技なんだろうなあと思いました。

12月のクリスマスに近い季節こそ家族や夫婦恋人と見たい映画だなと思います。

最近の恋愛もの作品は漫画原作のものが多く、特に若手が演じることが多いイメージの近年ですがこの作品は戯曲として作られているのでとてもストーリーがしっかりしているように感じます。出演している役者たちも実力派ばかりが参加しており、そしてなんといっても薬師丸ひろ子演じる奥さんがとても可愛いのです。とてもはまり役だなあと感じました。水川あさみ演じる若手女優は少しうるさいなあと感じましたが、他にこういう役の登場人物が出てこないことやきっと役の設定なのだと思うのでそこまで気にせず観ることも出来ました。舞台化され、映画化されているのですが映画版ではあの『世界の中心で愛を叫ぶ』行定勲監督で映像化され恋愛映画としてリアリティのあるものになっていると思います。

大人向けの恋愛映画としても観ることが出来ますしクリスマスシーズンには恋人たちが一緒に観ることで相手を大事にすることを改めて考えることが出来る作品でした。

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