春の雪の評価
春の雪の感想
切ない悲恋の物語。
三島由紀夫の小説『春の雪』を映画化。舞台は大正初期。侯爵の一人息子、清顕と伯爵家の一人娘、聡子の悲恋を描いた作品です。主演の妻夫木聡さんと、竹内結子さんがとにかく美しい。ちょっとしたシーンの二人の切ない表情や、諦めたようなけだるい様子が、全体的に靄がかかったような画面と作品の雰囲気にあっていて良かったなと思います。また大正時代の華族の生活も丁寧に描かれていて、観ていて楽しめました。逆に、少し残念だったのは脇を固める俳優陣と主演二人の温度差。脇役陣の熱演に比べて、清顕と聡子はあまり感情を露わにすることがなく、ちょっと迫力にかける所があったのが気になってしまいました。ですが、全体的に映像も幻想的で美しいし、良い作品だと思います。
大正時代の世界観に魅了
大正時代の建物や衣装、言葉遣いなどの世界観がとにかく美しい。全体的に白いベールがかかったような美しさに、観ていてうっとりとしてしまう。ストーリーでは清顕のわがままにイライラし、聡子の健気さにもどかしさを感じる。けれどこの年頃、制限を受けていればそうもなるかなとも。そして恋愛とはそもそもそういうもの。聡子に近づく時の清顕は男性主導で力強かったけれど、会えなくなってしまってからは聡子の主導にかわるところなど、やはりいざという時強いのは女性。そして厳しいことも言うけれど蓼科も憎めないキャラクターの一人。実はこの映画で一番好きな登場人物かもしれない。