人間の孤独やエゴイズム、憎しみや不安や絶望というものをテーマに厳しく人間の内面を凝視する、映画作家イングマル・ベルイマンの秀作 「秋のソナタ」
才能のある、性格も勝気な女性が、平凡な家庭生活におさまっていられなくて、夫と子供たちを捨てて家を出て行ってしまう。夫を嫌ったわけでもなければ、子育てにうんざりしたわけでもない。ただ、どうしても家庭におさまりきれなかっただけなのだ。そんな妻=母に見捨てられた夫と子供たちは、彼女の才能や女性としての魅力を誇りとして賛美していただけに、彼女を憎むよりもむしろ、彼女の家族であることに値しないかのように扱われてしまったことの劣等感に苛まれて、ひっそりと生きてきたのだ。夫は再婚もせず、自分を捨てた妻を想いながら、わびしく死んでいった。長女は、そんな父を愛おしく思えば、なおのこと、母の不人情さを憎むよりも、母の愛に恵まれなかった自分を悲しく思うばかりである。そして、長女は心優しい牧師と結婚し、寝たきりの身体障害者で言語障害もある妹を引き取って、一緒に暮らしている。彼女には子供もあったが、死んでしまった...この感想を読む
5.05.0
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