数学者の苦悩 - ビューティフル・マインドの感想

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数学者の苦悩

5.05.0
映像
4.0
脚本
5.0
キャスト
4.0
音楽
3.5
演出
4.0

目次

学問への苦悩

この映画は、とある大学へ進学した主人公の場面から始まる。私自身も大学、大学院と進み研究を実施してきた立場から、学問への探求および探求した学問が社会に与える影響について、とても悩んだ時期があります。この映画の中でも学問への追及が行われている。しかも、教わるのではなく、導き出すといった内容だ。現代の学問は、教わることでメインになっていて、導き出すといった思考を持つ学生は少ない。そのため、主人公が教授のゼミに参加せず、独自の学問への追及をしている姿は、経験にしたものしかわからない苦悩である。

時代への苦悩

主人公は、大学で大いなる成果を残している。現実でもその成果は他分野にわたり用いられている。しかし、過去の学者で、大いなる成果を残す人たちは、どうしても時代の概念に邪魔される方が多い。この映画でも、背景で渦巻く、戦争が行われている。戦争は、国全体が一団となり、何事にも最優先となる。この映画では、暗号解析を実施している。が、それは、ある意味根を詰め過ぎた精神患者を作り上げた。統合失調症。主人公はこの病気になる。精神的なものではあるが、本人には、現実のものとして見えており、他者にはわからない苦悩がここにはある。戦争という、国を挙げての責任の重荷。秘密で行っているという情報漏えいへの気遣いの重荷。実際に自分が同じ立場であるならば、精神的にとても堪える。その代償が統合失調症となる。現代の社会でも”うつ病”が広まっているので、そういう意味では、どの時代でも精神にかかる負担で病にかかるのは、必然なのかもしれない。

病気への苦悩

実像と虚像の区別がつかなくなるほど重症になると統合失調症という病は、他者への不信感を煽り、それは増幅していくばかりである。主人公の奥さんも始めは支えることを考え、真摯に対応していくもひどくなる病に対して、主人公の奥さんの精神も次第に病んでいく。主人公は、自身の病に対して、苦悩する。さらにその病に対して傷つく奥さんに対する苦悩も味わう。この病気はかかった自分だけでなく、他者も傷つけることで、さらに自分が傷つくといった負のループを作り出す。普通の人でも思い込みをして共有したつもりでも、他者が思っている行動と異なる行動をとってしまうことがある。それが他者にも迷惑をかける状況になるのであるならば、私自身は耐えることが難しい現実といえる。

最愛の人

この映画では、苦悩が苦悩を重ねてひどい人生のように見える反面、最愛の人の重要さも教えてくれる。奥さんは、最後まで主人公を支え、病気とも向き合ってくれている。この支えあってこそ主人公は自分自身を奮い立たせ、自律しようと努力するのである。やはり、人は支え合う生き物であり、それが最愛の人ならばこそ、与えられる影響は大きい。人は人を大切に思い、想い続けることこそが最大の武器となることを教えられた映画だった。

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