炎のランナーのあらすじ・作品解説
『炎のランナー』は1981年に公開された、ヒュー・ハドソン監督によるイギリス映画である。 1924年のパラリンピックで実際に金メダルを獲得した2人のイギリス人青年、ハロルド・エーブラムスとエリック・リデルがモデルとなっており、彼らが人種による偏見を超え、それぞれの競技で優勝するまでが描かれている。 第54回アカデミー賞の作品賞、脚本賞、作曲賞、衣装デザイン賞を受賞するなど高評価を受けた。 また本作は2012年のロンドンオリンピックでもテーマの一つとして取り上げられ、ロンドン交響楽団によってヴァンゲリス作曲のテーマ曲が演奏された。同時に会場では本作のフィルムが映し出され、ランナーがセント・アンドリュースのウエストサンド沿いを走るシーンにMr.ビーンが一緒に走るという演出がなされたことでも再び話題になった。 2015年には、エリック・リデルのその後を追った続編が中国、香港、米国によって製作されている。
炎のランナーの評価
炎のランナーの感想
1920年代のイギリスを味わう映画
人生に真面目に立ち向かった青年の物語「炎のランナー」という題名から想像していたのは、ロッキーのような情熱と闘志を全面に出すタイプの主人公。でも、登場するのは古めかしい白い運動着をきちんと着ている細い青年達だ。もちろん、ボクシングと陸上という種目の違いもあるが、名門ケンブリッジ大学生とスコットランドの宣教師が主人公ということが大きく影響している。全般的に上品な雰囲気が醸し出されている。主人公達は、差別や信念との葛藤という重荷を負って、人生に悩み何とか活路を見いだそうとしている。そして、その情熱が陸上に反映される。直接殴り合うようなスリルはないが、オリンピックの舞台に向けて静かな闘志が燃やされるのだ。1920年代のヨーロッパにタイムスリップ印象的な場面の一つは、白い運動着を着た青年達が砂浜を走る場面。ケンブリッジ大学の場所を地図で確認すると、海にはさほど近くない。スコットランドの宣教師エリック...この感想を読む