坂の上の雲を読んで近代日本を知る - 坂の上の雲の感想

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坂の上の雲

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坂の上の雲を読んで近代日本を知る

4.54.5
文章力
5.0
ストーリー
4.5
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5.0
演出
4.5

目次

近代日本の歩みを学べる一冊

この本を読めば日露戦争からスタートした日本の戦争の歴史が私の今の生活にどのように関わってきたのかがわかる。もしこの戦争に負けていたらどうなっていたのかを想像してみると良いと思う。

明治の漢たちの生きた美しい時代が蘇る

日露戦争で大活躍した秋山兄弟を始め、名将とうたわれる東郷平八郎や、乃木希典、児玉源太郎をはじめ、正岡子規、夏目漱石など日本の近代化に貢献した偉人の生きた時代が如実に描かれている作品。

偉人と呼ばれる彼らの生き様を通して歴史の転換期や彼らの人間的な魅力も見えてくる。

いつの時代も若者が国を創る

この小説は単行本で全6巻にもなる長編小説なのだが、作家司馬遼太郎の代表作とも言える作品だ。小説の時代は明治時代の日本の世界における地位を確立した日露戦争をテーマに、そこに生きる人々の国に対する熱い思いが描かれている。日本は当時ロシアやイギリス、ましてやアメリカからすれば、超弱小国である。

しかし、中国をめぐっての争いに参戦した日本はなんと当時最強を誇るロシアのバルチック艦隊を撃破してしまい、世界にその名を轟かせることになる。そのことが太平洋戦争につながり、今に至るのだが、なぜそんな小国の日本が勝てたのか、いろいろな要素があるが、まずは間違いなく登場人物である愛媛松山藩の藩士の息子である秋山兄弟の活躍によるところが大きい。

この兄弟が学問を学ぶために故郷を出るときには使った交通手段が小舟だったものだが日露戦争時には兄、秋山好古は数百人を率いる騎兵隊の大将に、弟、真之は海兵隊の中将として戦艦に乗りこむことになる。海外で最新の兵学を学び、それを積極的に取り入れ、秋山兄弟以外にも重要なポジションにつくものは海外に留学して学び、それを見事に実戦に生かしている。

好古は大酒飲みで豪傑だが弟想いの優しい兄、真之は向上心が強く勉強熱心で、スマートで女性にもモテる。とにかくこの時代の若者は皆、国や家族、友人、そして仕事を愛し、新しいことを吸収することに貪欲だ。翻って今の若者はどうだろう。国を愛しているか?家族を愛しているか?友人を愛しているか?仕事を愛しているか?

すべての人とはいわないが、選挙にも興味を示さず、核家族化し、家族が集まるのは親が亡くなった時だけ、しかも財産をめぐっての醜い争い、友達との付き合いは主にメール・SNS、仕事はとにかくいい大学に入っていい仕事にありつけたものが勝ち、給料が低ければ転職が当たり前、退職時には全てメール1本で終了。創られたものは必ず滅びるのが宇宙の法則とはいえ、悲しいものだ。

また、この小説では日露戦争が大きなテーマとなっているが、それはあくまでこの話の中心になってるだけで、決して戦争小説ではない。近代文学の発展に貢献した夏目漱石、俳句の確立させた正岡子規など日本を愛し、少しでも人のために生きようとする偉人の生き様が描かれている。

そしてこの時代の日本人は世界でも憧れの存在だ。敵国ロシアは東欧諸国でも圧政により各国民を苦しめており、小国日本がこの大国に勝利した時、各国は自分のことのように喜んだそうだ。ちなみに東郷平八郎や乃木希典、児玉源太郎は特に英雄として崇められており、道の名前にもつけられていたそうだ。また、戦争中に捕らえたロシアの捕虜にも親切に食事を与え、清潔な環境で生活させたという記録も残っている。

ちなみにこの小説の中盤では日露戦争の海と陸のリアルな戦いが描写されており、海では最新の海兵学を駆使した両国の緻密な戦略と駆け引き、そして対峙したときの激しい砲弾戦では火をまとった馬鹿でかい砲弾が甲板を貫き、船内にいる船員の体を吹っ飛ばし、船を焼き尽くす様や、陸では敵の陣地をなかなか攻略できず、ともに毎日のように大量の死体を生産。食料も尽きてきたため、肉弾戦に突入し、最終的には体と体のぶつかり合いになり、その死体には指で相手の目玉をくり抜いたままの姿勢のままのものや、相手の喉ぼとけに食らいついたままのものなどがあちこちに転がっていたという壮絶な戦いを想像させる。その描写は見事なまで生々しく描かれており、まるで作者が実際に戦地に赴いて取材を行っていたのではないかと思わせるほどだ。

また、この戦争を勝利に導いたのは秋山兄弟、東郷平八郎、乃木希典、児玉源太郎というイメージが強く、周りがあまり注目されていないのだが、実はその背景にはアメリカの協力を取り付けた金子堅太郎、諜報部員としてロシアを内部から混乱させた明石元二郎、日本陸軍の総指揮をとった大山巖、その他友好国であるイギリスの協力、これらすべての要因があったからこその勝利である。

すべての要素が戦略の1パーツでありながらもこれらが一体となり信頼があってこそ勝利につながったと言う点では企業戦略にも通じるもので、ビジネスに置いて決定権を持つ管理職および経営層にも役に立つ要素がたくさん詰まっているようにも思う。

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日露戦争の英雄兄弟

日露戦争で陸軍騎兵隊を作り上げた秋山好古と海軍で活躍した秋山真之の物語です。日清戦争後、大日本帝国はこれまでにないほどの強敵であるロシア帝国と戦うことになりますが、兄好古は対コサック騎兵を弟真之は対バルチック艦隊戦をそれぞれ考案し実際に勝利をおさめます。2人の凄さは教科書に沿って物事を進めていったわけではなく、敵を研究し尽くし自分達で教科書を作りあげて戦闘に勝利したところにあると思います。兄好古に関しては大日本帝国には騎兵隊が無く、騎兵隊を作るところから始め、騎兵隊用の戦術や戦略を考案し実行していきます。何においてもそうだと思いますが、ゼロから何かを生み出すということはとても大変なことであり、さらに好古の場合はそのできによって大日本帝国の命運が決まりかねない重責まで背負っていたわけですから、並みの神経ではやり遂げられなかったように思います。また弟真之も世界最強と言われたバルチック艦隊を...この感想を読む

5.05.0
  • kokohanakokohana
  • 209view
  • 517文字

坂の上の雲

「坂の上の雲」はNHKで、2009年から足掛け3年に亘って、年末の特殊な時間帯に特別番組として放送された。小生はそれ以前に既に、全巻読破していたので、非常に興味をもって観ていたのであるが、それにしても続編が一年間に亘って待たされると言うのは、余り例が無かったのではないでしょうか。この本を論評するには、余りに広大なほどのノンフィクションストーリーなので、一言では言い表せ切れないのである。 ただ、作者の冒頭の記述を借りれば、(テレビのナレーションにもあったかな)、「米と絹しか産せぬ百姓国家の中で、滑稽なほどに楽天的な連中が、ヨーロッパの古い大国を相手に、どう対決するか・・!」、云々。その滑稽なほどに楽天的な連中の物語は、明治期における日露戦争での名参謀と言われた秋山真之、好古兄弟と開明的歌人と言われた正岡子規を軸にして、四国・松山出身の三人の男達が織り成す友情と国家存亡の時とを合わせた大叙事詩的物...この感想を読む

5.05.0
  • orimasaorimasa
  • 220view
  • 469文字

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