無知の狂気 - タクシードライバーの感想

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無知の狂気

4.04.0
映像
3.5
脚本
4.0
キャスト
4.5
音楽
4.5
演出
4.0

元海兵隊員の男、トラヴィス・ビックル。不眠症を理由にタクシードライバーに就職した彼の視点から、アメリカ社会の問題を浮き彫りにしていく。

主人公トラヴィスは、とんでもなく不器用な男。物事を見極める能力が低いのか、恋人を喜ばせたいはずなのに、ポルノ映画に連れて行ってしまう始末。そして彼女が怒る理由にもピンときていない。

政治に関しても、わかっているように振る舞うが、全く社会のことをつかめていないのが現実。

「アイリスを助けたい」「両親には安心してほしい」

そういう思いもある優しい男にも関わらず、暴力的な行動をとる彼の姿は恐ろしくも、痛ましい。

この彼の暴力的行動の裏には戦争経験があるように思う。彼は無知だ。道徳も社会常識もない。映画の中では描かれてはいないが、戦争ゆえ勉学に励めなかったのでは、と推測できる。

これが危険なのだ。無知ゆえに恋人をポルノ映画に誘う、政治もわからない。それゆえイライラする、怒る……。この映画から学べることは人間は知識や常識を身に着けないと、恐ろしいことに手を染めかねない、ということにあると思う。そして幸せとは縁遠くなり、他人との距離もつかめず不器用になってしまう。

狂気を感じる内容だが、この映画が醸し出す不思議な雰囲気に、ついはまってしまうのも事実。


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