中盤から一気に引き込まれる東野ミステリー - パラドックス13の感想

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パラドックス13

4.334.33
文章力
4.67
ストーリー
4.67
キャラクター
3.67
設定
4.50
演出
4.00
感想数
3
読んだ人
6

中盤から一気に引き込まれる東野ミステリー

4.54.5
文章力
4.0
ストーリー
5.0
キャラクター
4.0
設定
4.0
演出
4.5

椅子に座って目の前で繰り広げられる映像を見ている感覚でした。頭では理解しがたい場所に、突然連れ込まれた様々な世代の人々が、非現実世界で生きていかなければならない宿命を理解しながらも、その世界で、過去である現実社会でのルールや理性にとらわれ葛藤する姿に、ハラハラとさせられました。本当は死んでいたのに、もう一度生を与えられた人々。死んだほうが楽かもしれないと思えるような極限状態の中で、13名それぞれの心理描写がよく描かれており、自分が同じ立場だったら誰と同じ行動にでるのだろうと登場人物に投射しながら読み進めることができました。これまでのルールや秩序がまったく通用しない世界で、生きるためだけの様々な意見や決断は、東野圭吾特有の少し残酷的な表現が、小説であるながらも現実味を感じました。特に最後に誠哉が死んでしまったこと。個人的には生きていてほしかったので、もやもやっとしたのですが、このスッキリしない感じがより物語にリアルさを吹き込んでいて、まさに「パラドックス」の終結であると感じました。常識では理解しがたい内容に最初は戸惑いを感じましたが、読めば読むほど引き込まれる作品です。できれば時間のある時に、最初から最後まで一気に読んだほうが、このSFミステリーに入り込めると思います。

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これまでにないサバイバルの中で描かれる人間模様が見どころ

新たなサバイバルが描かれているこれまでのサバイバルの話といえば、ライフラインが途絶え、食料品や生活物品の買い占め、盗み・騙しといった犯罪が起こり、人々が一瞬にしてパニックに陥ることが多い。しかし、この作品では、登場人物は13人。主人公の周囲から人が消えたが、まだライフラインも止まっておらず、食料などもある状態から始まる。物語が進んでいくにつれ、徐々にパラドックスの中の世界の状況が理解できてきて、時間が経つにつれて、食べられる物が減ってくることやライフラインが使えなくなっていくこと、天災が増えて安心して身を寄せるところがないことが判明する。パニック状態になり、人間の本質が見えてくるのは、他の作品でもみられるが、この作品では、自分たちは元の世界では死んでおり、この世界で生きていくことが非常に困難であるということを知らされる絶望感が他の作品にはない衝撃であった。誰もが絶望を感じる中、パラドック...この感想を読む

4.54.5
  • ぷちぽんぷちぽん
  • 314view
  • 1344文字
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徹夜しかけました。

厚みがあるのでゆったり時間をかけてじっくりと読んでいけるかもしれない、と期待して購入。読み始めるとすぐ「宇宙航空研究開発機構=JAXA」や「論理数学」の等の話が出てきて、普段あまり聞きなれないような言葉にドキドキ・わくわくしつつも読解出来るか不安でした。しかしそれらの不安は登場する人物も❝あまり理解していない状態❞というなかなか珍しいパターンであった為、(いつもは読み方や意味が解らない時は何かしら調べるのですが)読んでいるこちらも特別調べたりせず、敢えて理解しないままに読み進めたんです。解らないまま進んで、解らないまま中盤に達するので、どうなることかと思いましたよ!!気が付けばこの先の進展が気になって止まらなくなり562頁は2日で読み終えてしまいました。ただ、ちょっとすっきりしないところがあったので後にゆっくり考察。『P-13現象』が起きている時間に死亡すると時間跳躍の世界にいき、『P-13...この感想を読む

4.04.0
  • hamham
  • 2656view
  • 876文字

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