何時の時代にも存在する、人間失格”堀木”。
生き上手い人、行き下手な人。このレビューを書くにあたり、この長編小説をもう一度読み直しましたが、一度目と同じ印象をまた受けました。それは、この作品”殺人の門”は太宰治の”人間失格”にどこか似通ったものがあるな・・・という点です。何故か?この作品も人間失格も、根本的には生き上手い人、そして生き下手な人が物語の根幹である事です。主人公の田島と、人間失格の葉蔵は、キャラクターも性格も違います。共通点はお金持ちの家の出自である事、そしてその境遇を当然の事をして享受してきた点のみで、自分が人から恨まれる要素を持っていると気がつかない、典型的な恵まれた環境に育ったという事です。この作品の類似点は、そういう主人公のすぐ近くにいる人物、殺人の門では倉持、人間失格では堀木です。こちらはかなり似たキャラクター、性格で、出自も貧しい家に育ったという点で同じです。この殺人の門を読んで真っ先に思った事は「ああ、...この感想を読む
5.05.0
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