幸運を得たいのならば、まず自分のできる最大限の努力をしろ
久我誠哉
理解が深まる小説レビューサイト
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新たなサバイバルが描かれているこれまでのサバイバルの話といえば、ライフラインが途絶え、食料品や生活物品の買い占め、盗み・騙しといった犯罪が起こり、人々が一瞬にしてパニックに陥ることが多い。しかし、この作品では、登場人物は13人。主人公の周囲から人が消えたが、まだライフラインも止まっておらず、食料などもある状態から始まる。物語が進んでいくにつれ、徐々にパラドックスの中の世界の状況が理解できてきて、時間が経つにつれて、食べられる物が減ってくることやライフラインが使えなくなっていくこと、天災が増えて安心して身を寄せるところがないことが判明する。パニック状態になり、人間の本質が見えてくるのは、他の作品でもみられるが、この作品では、自分たちは元の世界では死んでおり、この世界で生きていくことが非常に困難であるということを知らされる絶望感が他の作品にはない衝撃であった。誰もが絶望を感じる中、パラドック...この感想を読む
厚みがあるのでゆったり時間をかけてじっくりと読んでいけるかもしれない、と期待して購入。読み始めるとすぐ「宇宙航空研究開発機構=JAXA」や「論理数学」の等の話が出てきて、普段あまり聞きなれないような言葉にドキドキ・わくわくしつつも読解出来るか不安でした。しかしそれらの不安は登場する人物も❝あまり理解していない状態❞というなかなか珍しいパターンであった為、(いつもは読み方や意味が解らない時は何かしら調べるのですが)読んでいるこちらも特別調べたりせず、敢えて理解しないままに読み進めたんです。解らないまま進んで、解らないまま中盤に達するので、どうなることかと思いましたよ!!気が付けばこの先の進展が気になって止まらなくなり562頁は2日で読み終えてしまいました。ただ、ちょっとすっきりしないところがあったので後にゆっくり考察。『P-13現象』が起きている時間に死亡すると時間跳躍の世界にいき、『P-13...この感想を読む
椅子に座って目の前で繰り広げられる映像を見ている感覚でした。頭では理解しがたい場所に、突然連れ込まれた様々な世代の人々が、非現実世界で生きていかなければならない宿命を理解しながらも、その世界で、過去である現実社会でのルールや理性にとらわれ葛藤する姿に、ハラハラとさせられました。本当は死んでいたのに、もう一度生を与えられた人々。死んだほうが楽かもしれないと思えるような極限状態の中で、13名それぞれの心理描写がよく描かれており、自分が同じ立場だったら誰と同じ行動にでるのだろうと登場人物に投射しながら読み進めることができました。これまでのルールや秩序がまったく通用しない世界で、生きるためだけの様々な意見や決断は、東野圭吾特有の少し残酷的な表現が、小説であるながらも現実味を感じました。特に最後に誠哉が死んでしまったこと。個人的には生きていてほしかったので、もやもやっとしたのですが、このスッキリ...この感想を読む
久我誠哉
確かにそうだよなと納得できることを言った一言