家族ドラマがじんわり効いてくるストーリー
冒頭のストーリー展開のうまさこの小説の冒頭は、読んでいてなんとも腹が立つうまいストーリー展開だ。主人公の朋美は専業主婦で、普段から夫や息子たちから軽んじられている。だからこそ自分の誕生日は特別な非日常で演出し、家族から祝ってもらいたいと思っていたのに、皆の態度はひどいの一言だ。思春期の息子はしょうがないとして、夫である浩光は愛情どころか人としてどうかと思うような言動ばかりで、本当にうんざりさせられた。そもそも朋美の誕生日を祝うという気持ちがまるでない。だから自分が動いてやるという気持ちが見え見えで、あろうことか、レストランまで朋美に運転させるというひどさだ。それだと主役の朋美がお酒を飲めないのに、まったく思いやりというものがない。またこの日のためにはりきって服を買いメイクした朋美に、ほめるどころか馬鹿にしたように貶しつづける。しかも息子の前でだ。同調する息子を注意するどころか一緒になっ...この感想を読む
3.53.5
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