あの死神が帰ってきた
受け答えがちょっと変わっていて、音楽が大好きで、雨男のあの死神が帰ってきた。
書店にてこの本を見つけた時はすごくうれしかったのを覚えています。
これは以前に出版されている死神の精度という作品の続編です。 死神の精度は短編小説が複数構成されているスタイルですがこちらの死神の浮力は長編小説。
不思議で人間とは違う感情を持っている、すごく魅力的な千葉の物語にどっぷりつかることができます。 千葉は死ぬ予定の人間を観察してその人間が死ぬべきか生きるべきかを決める死神。人間とは違う価値観で生きているので時にはドライのように思えます。それでも魅力的なのは自分の仕事にたいして精いっぱいでまっすぐだから。
今作で千葉は娘をサイコパスに殺された夫婦とともに7日間過ごします。夫婦は娘への復讐を決意している。千葉は独自の価値観をもっているので復讐をしっても協力も否定もしない。娘を殺された、という夫婦に対しての同情、犯人への憤りを感じながらストーリーを読み進めました。
最後は納得のいく終わり方で大満足。千葉の仕事もいつも通り淡々と、しかし真面目にこなされていてよかった。
一つ気になったのは犯人がサイコパスだったこと。読者の憤り、恐怖心をあおるのに良心のないサイコパスを扱うのは一つの手段だと思います。しかし、最近映画・漫画・小説等様々な媒体でサイコパスが取り上げられていて軽く感じます。 安易に使ってしまうと一気にチープになってしまうテーマなのかな、と思ったのでそこだけが残念でした。
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