死神さんは音楽がお好き
娘を殺された小説家、サイコパス、死神
平積みされていた文庫本の中で帯に「死神、サイコパス」と書かれた本を発見。ちょうど私がサイコパスの心理に興味持ち始めたところだったので迷わず購入しました。
本城って結局、人との交流のなかで、強烈な自分の印象を残したくて殺人をするのだろうか?!って思いました。山野辺が「おまえって誰だっけ?」「名前、なんだった?」と言ったことがトドメのようになって、本城が落ちることになりましたね。あの部分は痛快でした!
そしてこの小説でおもしろいキャラクターに出会えました!「死神」!
普通、娘を殺害された恨みをはらす復讐劇となれば、読んでいて「怒り」「悲しみ」等の気持ちで埋められ暗い気持ちで読まなければならなかったりすると思うんです。でも、この死神の存在が、読者にとっても、この小説の山野辺夫妻にも、ちょっとした癒し?!というか・・・いい意味で緊迫感を解いてくれてすごく面白かったです!
死神の仕事
一人の人間について調べ、死ぬべき時期にあるかどうか判断する仕事。今回の担当が山野辺遼であったため、復讐に同行する形となったがそれもたまたまというだけっていうのが面白いですね。
本城の追跡のときに同行してほしいと山野辺夫妻も読者も思っているのだけど、死神自身は、そこに音楽があれば、というようなスタンス!とにかく音楽を聴くのが死神はお好きなようです! だから本城を憎いとも思わず、山野辺夫妻がんばれでもないというのが・・・とっても違和感であり新鮮な感覚でした!
山野辺遼の死を「可」と判断して、読者の私としては悲しいのだけれど・・・一方、本城のほうの死神はというと、死神界のなかの「還元キャンペーン」とやらで今なら寿命をのばせる、とのキャンペーンにのり、20年長生きさせることを選んだことには驚きました! でも、長生きだからと言って幸せかというとそうではなく、後世生き地獄のような日々を送ることになるとは、とこれまた想定外でしたけど!そして「ざまあみろ」という気持ちになりました!
もっと読みたい死神!
山野辺さんの奥さんが、歩道を渡っている男の子を見て、娘の好きだった子に似ているって言って・・・語りだすエピソードはやはり涙モノでした。
それにしても「千葉さん」として今回登場する死神、あくまで真面目に業務を遂行しているだけなんですね。その行動・発言はとてもおもしろかったです。死神シリーズの作品があるようなのでぜひ読みたいと思います。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)