こんな教師がいたら良い
吃音という病気を抱えた臨時教師が、生徒に寄り添う物語。オムニバス式。 主人公の教師が、いわゆる「問題のある生徒」と関わるために臨時教師として中学校にやってくる。そして、その子供の心に入り込むことができると去ってゆく。 言葉がうまく話せないからこそ、その教師が懸命に発した言葉は心に響く。「さみしい子のそばにいるために自分がいる」「ひとりぼっちにならないようにそばにいる」など、心の中で悲鳴をあげている子や人を傷付けている子に、ふっと寄り添う教師。押し付けがましさは全くない。だから子供の心にできたちょとした隙間に入り込むことができるのかもしれない。 子供達がその後どうなったのかまでは描かれておらず、教師の言葉を受け入れたところで話が終わっているところがいい。歪んだ心がそう簡単に変わる訳はないと大人は誰でも知っている。しかし、その子が少しでも良い方向に変わってくれることを願って止まない。 教師を目指す人・親・行き場のないイライラを抱えた思春期の子供にお勧めする。
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