変われるさ。変わらなきゃ。どんな生物も、変わり続けることで環境に適応して、生き抜いてきたんだから
朝比奈覚
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新世界よりは貴志祐介によるSF小説で2008年に第29回日本SF大賞を受賞した作品である。 人が呪力と呼ばれる超能力を手にしてから1000年後の世界が舞台となっている。のどかな風景か広がる集落「神栖66町」で人々は平和な暮らしをしていた。この町に生まれた主人公渡辺早季は12歳のとき課外授業に同級生4人と出かけ、ミノシロモドキと呼ばれる先史文明の自走型図書館に出会う。先史文明はなぜ滅び、自分たちの文明はどのようにしてつくらたのかを聞く中で禁断の知識を得てしまう。このことがきっかけで早季たち5人は町の倫理委員会から目を付けられたもののお咎めはなく2年が過ぎる。早季が14歳になった頃同級生の守は自分が処分されてしまうことを恐れて家出し、それを追うようにして真理亜も町から姿を消す。時は流れ早季が26歳になった頃これまで人間に忠実だったバケネズミが人間に反旗を翻し戦争になり、押されながらも人間が勝利する。この戦争で多くを学んだ早季が未来への希望を描いているところで物語りは終る。
これは、確かSF大賞とったんですよね。 面白かったんですが、すごく長いし、難しいし、頭パンクしそうです。 感心するのは、非情に緻密で細かいところまで最後の一ミリまでこだわった設定で、貴志さんの頭の良さにビックリです。作家さんなら当たり前なのかもしれないですが、こだわりようが異常な程です(笑) だから、読む方が疲れるんですとても・・・。この人は、最後にドド~んと展開するのを知っているものですから、上巻、中巻はひたすら我慢して、設定を叩き込みます。人間関係、伏線、そして予想しながらじっくり読むのでヘトヘトです。 でも、ありそうでなかったこの世界をテーマにとても面白かったです。 人間が能力を持ち、それをコントロールする大人たち。 でも、微妙にアンバランスで、ちょっとのところで保っているそのバランスを崩した時、人々は恐怖に襲われる。 あれだけ強い能力をもっているのに、精神的な弱さが見え隠れするのが...この感想を読む
1000年後の日本、高度に進化した人間達は、規律を守り、現在とは大きくことなる文明を維持しながら生きていた。「昔はそうじゃなかった」ということを、一部の少年少女が知るまでは…。物語は冒頭からしばらく、1000年後の世界の成り立ち、設定をこれでもかというぐらいに説明することに費やされていますが、そこを過ぎると、一気に話の流れに飛び込む格好になります。話の流れについてゆけず、当初は面食らいますが、しだいに「何だ、この世界?」と興味がわけば、俄然話がおもしろくなっていきます。ステレオタイプな未来像とはかけ離れた世界設定に、「なぜそうならなければならなかったのか?」と疑いを持ったら、もうしめたものです。物語にどっぷりハマりこんだ証拠です。この「なぜそうならなければならなかったのか」が、話の核心でもあるわけですが、それにしても見事な設定、構成力に口をあんぐりしてしまいます。語り手の回想という文体からなる...この感想を読む
舞台は千年後の日本。人々は呪力と呼ばれる念動力を手に入れ、閉ざされた町の中で一見平和で幸せな暮らしをしていた。しかし主人公たちが初めて町の外へ出た時、彼女たちの運命を変えてしまう出来事が……。この作品は上中下で三部に分かれており一見すると長そうに見えます。しかし文章は読みやすいので序盤の導入部分を過ぎれば、先の展開が気になってあっという間に読み終えてしまいます。作品中にはドボルザーグの家路という曲や様々な架空の生物が出てくるので、曲や元になった生物とかを調べたりするとより楽しめると思います。SFやファンタジーが好きな人におすすめしたい作品です。
よみがな:あさひな さとる 年齢(作品時):12歳 性別:男性 国籍:日本 性格:陽気な性格 特徴:両性愛者 価値観:美少年好き 趣味:いたずら好き 癖:ホラ話を吹聴する 就職先:妙法農場 タイプ:美少年
よみがな:わたなべさき 生年月日:210年12月10日 年齢(作品時):12歳 性別:女性 国籍:日本 性格:好奇心旺盛 特徴:ミノシロモドキから町では禁忌とされる情報を引き出してしまい、平和だった日常から、バケネズミたちの抗争や思いもしない災厄に巻き込まれてゆく 就職先:保健所の異類管理課 両親:町長の父と、...
朝比奈覚
悲劇的な事件が全て終わった後、主人公の渡辺 早季からの「ねえ。わたしたち、本当に変われると思う?」という問いかけに、科学者の覚が答えた場面。