高いIQをもつよりもっと大事なことがあるのよ
アリス・キニアン
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『アルジャーノンに花束を』はアメリカのSF作家、ダニエル・キイスによる長編小説である。1959年に中編小説として執筆されヒューゴー賞を受賞、1966年に長編小説として加筆修正されアメリカSFにおいては最も重要な賞とされるネビュラ賞を受賞した。日本では1961年に中編が雑誌に掲載され、長編版は1978年に出版された。アメリカのみでなく各国で映画化、舞台化され、日本においても2002年にユースケ・サンタマリア主演、2015年に山下智久主演で一部設定を変更したドラマが放送された。 知的障がいを持つ主人公チャーリイは開発されたばかりの脳手術を受け、物語は彼の「経過報告」という一人称の日記形式で進んでいく。高度な知能を得た一方で感情は充分に成長しておらず、そのアンバランスさにチャーリイは苦しみ、次第に孤独感に苛まれていく。手術後に劇的な変化を遂げたチャーリイを取り巻く環境、人間模様の変化そしてそれに対する彼の戸惑いや葛藤といった心の動きを丁寧に描写した作品である。
天才ねずみ、アルジャーノン、知的障害の青年にアルジャーノンが受けた手術と同じ手術をする。青年は天才になるが、最終的に、また知能は退化していき、元の青年に戻ってしまう。青年の性格や、人との関わり、天才になることで生まれた確執、しかし、人間的にも成長していく姿に感動しました。人の幸せって何だろうと考えさせられました。青年は少しの間でも人並み以上の知能を得られて幸せだったんだろうか。青年はかしこくなりたくて手術を受けたけど、まさか、元に戻ってしまう危険があるなんてわからなかっただろうし、最終的に手術を受けたことは青年とって良かったのか悪かったのかわからなくなっちゃいました。
人のススメで、というか、あまりにも有名なのでどんなものだろう、と思って読んでみた。もっとヒューマンドラマ的なものを想像していたので、裏切られた。これはSF小説なんだなぁ。それにプラスして心理描写とか人間性のようなものが描かれているような? そもそもヒューゴー賞(歴史のある、SF小説を対象とした文学賞)を受賞している作品なのだから当たり前かなぁ。知的障害を抱える人間の心理をここまで克明に描いているというのは本当にすごいなぁ、と思った。でも、読んでいてあまり楽しいものではないんだなぁ。全体的に暗い印象。ストーリーそのものもそうだし、描かれている人間の心理も。知人はこれがお気に入りで繰り返し読んでいるという。自分にはよく分からなかった。
冒頭は幼いチャーリィの言葉で綴られているので正直読みづらく苦戦したが、読み進めていくと、障害を持つ純真無垢なチャーリィが脳手術により急速に知能や精神を発達させていきそのピークが過ぎると逆再生するかのように元の幼いチャーリーに退行していく様とその複雑な心情が丹念に描かれていて驚いた。しかも三人称のような他人からの視点でなく本人が語る日記風の表現になっているので、彼の心と知能が急成長しそして衰退していく中でどのような喜びや葛藤や変化があったのかをアリアリと感じ取ることができた。だからこそ一生懸命に生きるチャーリィに痛いほどの切なさや愛おしさを感じてしまった。周りの人々が良かれと思って彼に押し付けた「幸せ」と彼が求めていた「幸せ」は何が正しく何が間違っていたのか。彼自身は最終的に幸せになれたのか。幸せの定義とはなんなのか。チャーリィの生きる姿に心を打たれながらも考えさせられる作品だった。この感想を読む
よみがな:ちゃーりぃ・ごーどん ニックネーム:チャーリィ 年齢(作品時):32歳 性別:男性 性格:優しい 物語上での目的:主人公 コンプレックス:母との確執 病名:知的障害 知能:6歳児 願望:頭がよくなりたい
アリス・キニアン
徐々に得た知能を失いつつあり、心揺れる主人公にかけた言葉。
チャーリイ・ゴードン
得た知能をすべてを失った主人公が手紙に書いた言葉。 知識は失ったが、他人に対して思いやりを思い出した主人公ならではの言葉。
チャーリイ・ゴードン
知能が低下したため、施設に行くことが決まって、チャーリー・ゴードンがずっとつけていた日記の最後の日に、書かれた追伸。