運命の愛が最も美しく見える巻
オルフェウスの窓の愛の伝説によって魅かれあう主人公ユリウスと音楽学校の先輩でロシアの革命家であるクラウスの思いのたけ、純粋な愛の美しさが描かれる『オルフェウスの窓』の中でも屈指の名巻です。 クラウスはユリウスへの想いを断ち切りロシア革命運動に身を投じる決心をし、レーゲンスブルクを去りロシアに旅立とうとします。その情報をつかんだユリウスはクラウスに一目会うために、クラウスの乗っている汽車を馬で追いかけます。汽車に追いついたものの、クラウスの目の前で落馬してしまうユリウス。それを見たクラウスは汽車から飛び降りユリウスを助けます。そしてお互いの想いを確かめ合う二人。しかし激動のロシアには連れて行けないとユリウスを突き放すクラウス。 この概説はこの巻の前半部分だけですが、この部分だけで涙がこぼれる美しいシーンの連続です。ひたむきなユリウスの想いと、ユリウスを気づかってあえて突き放すクラウスの想いがクロスオーバーして読者に訴えかけます。ユリウスの立場でも、クラウスの立場でも気持ちがわかるゆえに哀しくなります。ここでの二人の想いと別れが、その後の二人の人生を決めてしまう運命的な巻です。 他にも重要な伏線があるのですが、ここは二人の想いと別れにひたすら涙したいです。
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