戦うヒロイン、リセットに失敗する - エイリアン3の感想

理解が深まる映画レビューサイト

映画レビュー数 5,784件

戦うヒロイン、リセットに失敗する

3.03.0
映像
3.0
脚本
2.5
キャスト
2.5
音楽
3.0
演出
2.5

今ではアカデミー賞にノミネートされる実力を持つデヴィッド・フィンチャー監督のデビュー作。 一作目ではSFホラー、二作目ではSFアクションと続けて成功したシリーズ。 当然ながら重圧がかかる三作目に新人を起用してみたが、その評価は散々であり、更に主演のシガニー・ウィーバーとの衝突も話題になりました。 とにかく、本作は製作側のトラブルが非常に多く、その為に作品のクォリティーが低下してしまいました。 それまで成功を収めていた前作たちと比べ、本作はある意味、リセットした状態で再始動したけど面白さは伴わなかった。 個性があったシリーズの登場人物たちだったが、今回は囚人でしかも全員がスキンヘッドという特徴のないキャラクターになったのもつまらなさの一因だったと思う。 一度だけ鑑賞すると誰が誰だか分からないし、別に誰でもいいという印象を与えるのも残念である。 エイリアンの形態も犬を宿主として4足歩行する新しいタイプも、インパクトがなく、一匹という点でも一作目と被っている上に演出の面でも足元に及ばない。 そもそも囚人が犠牲になったところで共感はできないのが最大の失敗だと言える。 前作ではリプリーだけが無傷なのに、他に助かったヒックス伍長、少女のニュートンが冒頭で死んでいて、アンドロイドのビショップが辛うじて動くもすぐに停止というリセットも納得できない。 新しい試みをしたのはいいけど、製作においてのトラブル、幾度の脚本書き換え、監督の交代や新人の起用が噛み合っていない結果が如実に反映してしまった残念な作品でした。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

他のレビュアーの感想・評価

名作のなかの駄作なのか?

なぜ酷評が起こったのかSFホラー映画の金字塔とまで言われたリドリー・スコット監督の『エイリアン』、“今度は戦争だ”をキャッチコピーに、エイリアンと宇宙海兵の激戦を描いたジェームズ・キャメロンの『エイリアン2』に比べ、『エイリアン3』は何かと酷評を受ける。しかも不思議なことに、酷評しているのは往々にして熟練の『エイリアン』シリーズファンである。つまり、映画単品としてはつまらない訳ではないものの、“エイリアンシリーズ”としては評価出来ない、ということになる。筆者もそこそこの『エイリアン』ファンを自称しているが、他のシリーズに比べ、『エイリアン3』はそれほど記憶に残らず、さほど面白いとも思わなかった。駄作ではないが、良作ではない。ただ消化するほどの作品、という感想を抱いている。では、『エイリアン3』が何故ファンから酷評を受けるか、検証していこうと思う。『エイリアン』ファンの先輩諸氏の意見を借り...この感想を読む

2.52.5
  • すらりすらり
  • 3090view
  • 2888文字
PICKUP

リプリーのヒロイン像と共に、人類にとってエイリアンとは何かを追求した宗教的色彩を帯びた、悲愴なまでに美しい作品 「エイリアン3」

リドリー・スコット監督の「エイリアン」第1作は、「宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない」というキャッチフレーズがぴったりの、暗黒の宇宙をさまよう巨大な宇宙船の内部を、完璧な密室に見立てて、絶体絶命の「恐怖」を追求した作品だったと思います。ジェームズ・キャメロン監督の「エイリアン2」のキャッチフレーズは、「今度は戦争だ」でしたが、これは無数のエイリアンが「女王」を中心に巣食う惑星で、人間対エイリアンの凄まじい死闘が展開される、まさに「ランボー」顔負けの「迫力」の映画でした。そして、リドリー・スコット、ジェームズ・キャメロンに次いで、当時、新鋭だったデヴィッド・フィンチャーが監督した「エイリアン3」では、このシリーズのヒロインたる女戦士、エレン・リプリー(シガニー・ウィーヴァー)が、遂に「殉死」するのです。この「エイリアン3」という映画は、リプリーのヒロイン像と共に、「恐怖」や「迫力」を越え...この感想を読む

4.04.0
  • dreamerdreamer
  • 244view
  • 1765文字

3作目は『セブン』のデイビッド・フィンチャー!!

フィンチャーにとっては、本作がデビュー作。ここから、『セブン』、『ファイト・クラブ』、『ゾディアック』、『パニックルーム』、『ベンジャミン・バトン』、『ドラゴン・タトゥーの女』などを製作していきます。本作は、リプリーが坊主になる作品。なぜか欲求不満になって医務主任とセックス。その他はとくに目新しさはないかな。宇宙での話なのに、地上の刑務所にいる感じであんまり楽しくない。最後エイリアンを誘導するシーンとかは、撮り方こそ面白いけど、『シャッターアイランド』で刑務所をぐるぐる走り回るシーンとデジャヴ。まあ、エイリアンの方が先だけど。とにかく、もうネタつきた感じになってしまってるね。まあ3作目を任されて上手くつくるのも難しいけど。最後鉛で熱して、スプリンクラーで冷やしてって殺し方はなかなか考えたね。でも、2でエイリアンが銃で簡単に死ぬことが分かってるだけに、3になって武器もなく原始的に殺してく...この感想を読む

4.04.0
  • ABCDEITOABCDEITO
  • 184view
  • 583文字

感想をもっと見る(8件)

関連するタグ

エイリアン3が好きな人におすすめの映画

ページの先頭へ