カッコウのような人間と、卵に涙を流す人間
登場人物をリアルに書ける理由作者の「西の魔女が死んだ」は、主人公のまいがいじめられて学校を休み、祖母の家で過ごす話だ。そんな作品を書いたせいか、作者は人に会うと「昔いじめられたの?」と言われるらしい。作者にそういう経験がないに関わらずだ。が、読者には作者の実体験に基づいて描かれたもののように思えたのだろう。案外、こういうことは珍しいように思う。小説を読んでいて、登場人物に対し、違和感があったり、引っかかったりすることがある。個人的には男性作家の描く女性に感じやすく、あとは高齢の作家が若者を描くのも、結構きついところがあるように思う。その点、この作者もお年を召しているが、「珊瑚と雪と」の主人公の、三十ほど年下の女性の描き方は、作者も同年代なのかなと、思わせるほどだった。どうして、年齢も立場も、生まれ育ちも全然違う人間の、ものの考えた方やとらえ方、また生活ぶり、日常的な言動などを、こと細や...この感想を読む
4.04.0
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