バンド・オブ・ザ・ナイトの評価
バンド・オブ・ザ・ナイトの感想
今までよりも深い実生活の切り売りに感じる小説
大島は中島この小説はフィクションの形をとっているけれど、きっとほぼノンフィクションであると思われる。内容はほぼ自叙伝になっているのでないだろうか。今まで読んだ中島らもの作品だと「僕に踏まれた町と僕が踏まれた町」「頭の中がカユいんだ」とかだけど、どれも自叙伝的要素が強い作品だった。でも今回のこの作品「バンド・オブ・ザ・ナイト」はそれらよりも尚一層人生を切り売りして書かれているような、人生をさらけ出しているような印象を受ける。今まで読んだ中ではすべて第三者からは中島なり、らもんなりと呼ばれていたけれど、この本で初めて主人公を「大島」とし、フィクション風味を出してきている。他の本と共通する経験談を話している以上限りなく中島らも本人に近いのだろうけどすべてがすべてではないという一種の矜持なのか、登場する他者への思いやりなのかわからないけど、まあ大島は中島らもと思って間違いないだろう。話の内容が...この感想を読む
言葉の濁流
自身のアル中・ヤク中の状態を題材にしている作品。社会的にだめな人たちがたくさん登場する。でも、みんなとても愛らしい。人間的で、感情的。自分がなりたいとは思わないけど、中島らもはかっこいい。カットアップ手法が、薬でラリっている感じをうまく表現している。その言葉の羅列は読まなかったという人たちをレビューサイトでよく見かけるけど、わたし的にはぜひ読んでもらいたい。それを読んでいるうちに、頭の中がすこしだけ、ラリっている状態に近づけると思う。決して、ストーリーがすばらしいわけではない。でも心に響くものがある小説だ。特に、心に暗い部分のある人には、響くと思う。