世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドのあらすじ・作品解説
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」は村上春樹による長編小説である。1985年に新潮社から発行された。 「ハードボイルド・ワンダーランド」「世界の終り」の章が交互に書かれ、物語は同時進行で展開されてゆく。 「ハードボイルド・ワンダーランド」の章では、暗号を取り扱う「私」が自らに仕掛けられた装置の謎を解明する物語である。老博士に呼び出された私が太った博士の孫娘に研究所まで案内される。そうして博士や孫娘とやりとりがあり、何者かに襲われ部屋が荒らされた後、太った孫娘から世界が終わることを告げられる。 「世界の終り」の章では壁に囲まれた街が舞台で、記憶を失った「僕」が一角獣の頭骨から夢を読み取る「夢読み」として働きながら街の謎やどうして街ができたのかを解き明かしていこうとする。 本作は文庫化もされており、英語のみならずドイツ語、フランス語、スペイン語など多くの言語に翻訳されて世界中で出版されている。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドの評価
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドの感想
「太った娘」について 本作では不発だが、後の有名ヒロインへのステップ?
迷走するヒロイン像過去、村上春樹作品のヒロインについて何度か考察してきた。私の勝手な位置づけだが、村上作品最高のヒロインは1987年執筆の「ノルウェイの森」の直子と緑、翌88年「ダンス・ダンス・ダンス」のユミヨシさんの3人だ。この3人は作品の必然性とキャラクター性、描かれる場面が全てマッチしており、読者にどのように映るか、という点でも計算されつくしており、村上春樹の巧みさが存分に発揮された、と言える。※本サイトの「羊をめぐる冒険」の耳が美しい女性(キキ)での失敗、「ダンス・ダンス・ダンス」のユミヨシさんの成功例などを記述しているので、是非検索して読んでいただきたい。さて、本作品には世界の終わりサイドで 「影が無い女の子」、ハードボイルドワンダーランドサイドで「太った娘」と「図書館のリファレンスの女の子」が登場する。「リファレンスの女の子」は個性が薄い点で直子、緑、ユミヨシさんにやや劣る...この感想を読む
すべてが架空で詩的でリアルな長編小説
なぜか読むのが遅れた作品私が初めて読んだ村上作品は「1973年のピンボール」だ。確か中学生の頃だった。そこから「羊をめぐる冒険」や「ダンス・ダンス・ダンス」など食い入るように読んだのだけど、なぜかこの「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」だけが抜けていた。手に取ったのは働き始めてからくらいだったと思う。なぜ読んでいなかったのかわからないけど、逆にまだ読んだことのない村上作品があったことがうれしかったことを覚えている。もちろんそのまますぐ買って、家の本棚に並べられることになった。もともと気に入った本は何度も読み返すタイプなので、ボロボロになってしまい買いなおした村上作品は少なくない。前記したタイトルしかり、「ノルウェイの森」しかり「パン屋再襲撃」しかりだ。そしてこの本も2度ほど買いなおしている。読むのは遅れたものの、気に入っている村上作品のひとつだ。同時に進行する2つの物語この...この感想を読む
まどろっこしい
まず、とにかくまどろっこしい。村上春樹の説明はいつも長ったらしくて、よくわからない比喩を使う。比喩っていうのは伝えるためのものなのに、オシャレ度にこだわって、伝わりにくい比喩を使うのはいかがなものかと思う。たとえば、「乗ったエレベーターが、ステンレスでボタンがなく、広い。自分が普段使うエレベーターと同じものとは思えない。暇だし、ポケットの小銭でも数えようかな。」ということを説明するのに数ページかける。しかも、主人公は美人でふとっている女の人を見ると、その人とのセックスを想像する。変態だ。こういう人のことを変態というんだな、と思う。ストーリーは面白い。