現代的な日常を切り取ったリアルな短編たち
主人公男性をもてあそぶかのような女性たち「女たちは二度遊ぶ」というタイトルの印象とは違って、ほとんどの物語の主人公は男性である。そしてその主人公目線で書かれている。大体のストーリーは自分が出会った思い出に残る(というよりは強烈な印象を残したといってもいい)女性のことを思い出すように書いてあるのだけど、読み進めていくうちに主人公である男性の欠点が浮き彫りにされてくる。その展開が面白く、一気に読み終わってしまった。この作品は全部で11の短編が収められているが、タイトルとなっている「女たちは二度遊ぶ」という物語はない。ということはこの言葉が11の短編たちの総称というか、テーマがそれと考えてもいいと思うのだけど、こうだという考えは思いつかない。しかしこの物語全ての主人公の男性は相手の女性に去られているため、この辺りの皮肉かなと感じたりはした。吉田修一の短編小説は魅力的なものが多いが、時にスタイ...この感想を読む
3.53.5
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